2016年は激動の株式相場となりましたが、2017年はどのような資産運用をしていけばよいのでしょうか。そこで、現在起きている株式市場の流れを踏まえつつ、これから長期の資産形成に取り組んでみたいという方向けにポイントをまとめてみました。
今回は資産運用でカバーする領域が、アクティブファンド、インデックスファンドなどの投資信託から個別株にまで及ぶことから、個人投資家向け金融経済メディアLongine(ロンジン)編集部とともに話を進めていきたいと思います。
資産運用初心者にはバランス型ファンドやインデックスファンド運用がおすすめ
2016年は年初から日銀がマイナス金利を導入、6月の英国国民投票によるEU離脱、11月の米国大統領選でトランプ氏が当選というように、想像もつかなかったイベントが目白押しとなりました。結果、為替相場は乱高下し、株式市場も大きく動くことになりました。荒れた相場環境にはどのような資産運用が適当なのでしょうか。
こうした環境では、荒れた相場環境でもアセットアロケーションを機動的に発動してくれる投資のプロ、ファンドマネージャーが資産配分を行うバランス型ファンドに投資をすることも選択肢の1つです。
また、買付手数料が無料で信託報酬の低い、いわゆる市場そのものに投資をするインデックスファンドを自分で組み合わせるのもよいでしょう。ただし、どの資産のインデックスファンドに投資をすればよいのか、どのような配分が良いのかという疑問は残るかもしれません。
投資信託を選ぶ際にはいくつか気を付けておくべきポイントがあります。運用資産規模であったり、運用実績、また信託報酬の水準、信託財産留保額などは購入前に確認することが大切です。それらについては、以下のサイトで簡単に確認をしておくとよいでしょう。
>>【参考】失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント
【コラム】インデックスファンド vs. アクティブファンド
インデックスファンドは、長期的には投資のプロが運用するアクティブファンドと比べて投資リターンが高いといわれています。市場以上のリターンを狙い続けるプロの投資家よりも、市場そのものに投資をする方が長期的にはリターンが良いということです。
この考えは今では多くの人が知るところですが、それでもアクティブファンドも存在し続けています。最終的には、それぞれのアクティブファンドがインデックスファンドより高い信託報酬に見合うだけのパフォーマンスが出せているかということにつきます。
そういったアクティブファンドとインデックスファンドのパフォーマンスに関して詳しく知りたい方は、時間のある時に以下の本に目を通すとよいでしょう。
>>ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理
どのアセットクラスのインデックスファンドがよいのか
さて、インデックスファンドと一口に言っても、国内株式、国内外債券、国内外REIT(リート)など様々な種類の投資信託に、個人投資家も簡単にアクセスできるような時代です。実際に、国内の資産運用会社から様々なインデックスファンドが販売されています。
どのアセットクラスのインデックスファンドを購入すればよいかという疑問に寄り添った回答をしてくれている本が、山崎元・水瀬ケンイチ著の「全面改訂 ほったらかし投資術 (朝日新書) 」です。
また、投資家の中には、”結局は外国株式のインデックスファンドを購入しておけばいい”と考えている方も多いのではないでしょうか。これは、世界経済の名目GDP成長率が日本よりも高いことや、どの国も低金利で十分な利回りを確保できる債券などが少なくなったことなどから総合的に判断し、「外国株式という資産を最も効率的に運用するためにはインデックスファンドがよい」という判断の結果と見ることができるでしょう。
実際にネット証券での売れ筋を見ても、そういった傾向にあるのが面白いところです。毎月分配型投資信託もいまだに根強い人気がありますが、外国株式(グローバル株式)のインデックスファンドも上位にランキングされています。こうした投資行動を見ると、日本の個人投資家も相応に投資リテラシーが上がってきたように感じます。
また、投資信託でハイライトしておかなければならないのが、最近話題となっているiDeCo(個人型確定拠出年金)です。税制のメリットもあり、今後は主婦などへも対象が広がることから要注目です。
NISA及びジュニアNISAも、条件に合えば売却益に税金がかからないというメリットがありましたが、iDeCoの場合には拠出時の拠出金は全額所得控除があるなど、NISAよりも税制面では魅力的と言えるかもしれません。前出の山崎元氏がiDeCoについて詳しく記した「確定拠出年金の教科書」があるので、詳しくはこちらを参照するとよいでしょう。
こうした投資信託の売買、そしてNISAやiDeCoを活用した投資を始める場合には証券口座が必要です。必ずしも店舗を構える証券会社で口座開設をする必要はありません。売買手数料が安く、NISAやiDeCoにも対応したネット証券を選択すれば、投資へのハードルも低くなるはずです。
また、ネット証券は投資情報を中心にニュースが豊富です。新聞を情報源とされている方も、一度ネット証券の情報プラットフォームを利用されてみてはいかがでしょうか。
>>【参考】日経新聞が無料で読み放題? ネット証券のお得な活用法
株式投資をお得に始めるには
投資信託や税制面で有利なiDeCoにも興味はあるが、やはり株式投資で大きく値上がり益を求めたいという投資家もいることでしょう。そういった方は株式投資を検討してみるのもよいでしょう。
株式投資には(1)株価の値上がり益、(2)配当収入、(3)株主優待という3つの醍醐味がありますが、株価の値上が益を追及するためには、企業業績を予想し、バリュエーション(株価評価)が割安な銘柄を選択するのが王道です。
どの銘柄に投資妙味があるかについて証券投資のプロの意見を参考にされたい方は、ぜひ外資系証券会社及び運用会社で調査・運用経験のある執筆者が寄稿や推奨を行っている個人投資家向け金融経済メディアLongine(ロンジン)のウェブサイトを参考にしていただきたいと思います。ただ、絶対プロの意見に耳を傾けなければならないということはありません。
>>【参考】Longine推奨銘柄の配当利回りと株主優待まとめ(2016年12月22日終値)-Longine
株式投資の神様とも言われる米フィデリティのピーター・リンチの書籍では、「身近な企業」に投資をせよと言っています。外食や小売り企業は、消費者として誰もが直接商品を購入したりサービスを受けたりします。その際に、消費者として「この会社は伸びる!」と確信を持つこともあるでしょう。リンチ氏は、そうした企業を見出すチャンスは個人投資家にも十分あると言っています。
>>ピーター・リンチの株の法則---90秒で説明できない会社には手を出すな
ただ、リンチが資産運用をしていた時のように、プロ投資家と個人投資家の間に企業に関する情報の格差が存在していた頃は、そうした身近な情報で十分に儲けることができたかもしれないが、今はもうそういう時代ではなくなったという指摘もあります。
確かに、インターネットの普及した現在では、投資情報の格差はそれほど大きくないかもしれません。これは個人投資家には歓迎すべき環境ですし、そうした機会は十分に活用すべきでしょう。
ウォーレン・バフェットの投資の極意は意外に簡単に入手できる
早耳情報でなく、未来予測でもなく、過去の企業の実績を吟味して投資に成功してきた企業があります。それが、「投資の神様」ウォーレン・バフェットが経営する米保険会社、バークシャー・ハサウェイです。そして、バフェットが自分の言葉で投資のアプローチを示しているのがバークシャー・ハサウェイのアニュアルレポートです。
ここにはバフェットの投資アプローチが明確に書かれています。ただし、英語なのが難点かもしれません。それらを日本語で解説した記事がLongineにあるので参考にしていただければと思います。
>>【参考】もしもウォーレン・バフェットが日本株を買うとしたらどの銘柄?実は大変なことになっていた!
バフェットは株主還元、つまり配当や自社株買いにも注意を払っていますので、配当収入を得ることを目標に株式投資に挑戦してみたいという方に参考になるかもしれません。
そのバフェットのこれまでの人生を振り返った本としておすすめしたいのが、「スノーボール」です。これは長編ですが、先のアニュアルレポートと一緒に読めば、さらにバフェット投資法への理解が進むでしょう。
>>スノーボール(改訂新版)〔上〕 ウォーレン・バフェット伝 (日経ビジネス人文庫)
>>スノーボール(改訂新版)〔下〕 ウォーレン・バフェット伝 (日経ビジネス人文庫)
株主優待は日本特有の制度だが面白い
株主優待は日本では定着した印象もありますが、外国人からすれば、「株主優待? 何それ?」という反応です。海外企業の株主還元は、配当、自社株買いといったアプローチで行うことが多く、モノやサービスを株主に還元するという発想はあまりないと言ってもよいでしょう。
ところが、日本では個人投資家のすそ野を広げたいという思いの企業が多く、個人投資家を意識して株主優待制度があり、その採用企業数も増加傾向にあります。株主優待の是非はともかくとして、株式投資を始めるのであれば、既にある制度は活用した方がお得です。
株主優待については、自社の商品やサービスを提供する企業から、クオカードや水、お米といった現金同等物や生活必需品を提供する企業まで様々です。投資をしてみたい企業があるのなら、どのような株主優待を実施しているかは確認しておきたいところです。上場企業の株主優待を網羅的に調べたい場合には以下の書籍が便利です。
また、優待内容のカテゴリーごとに投資先を選別される方もいらっしゃるでしょう。その場合には、以下のサイトを参考にしてみてはいかがでしょうか。
>>クオカードや図書カード、ギフト券がもらえる株主優待は?-株1(カブワン)
>>お水や清涼飲料水、お酒がもらえる株主優待は?-株1(カブワン)
>>お米やお菓子、食品がもらえる株主優待は?-株1(カブワン)
まとめ
いかがでしたでしょうか。2017年は2016年同様、資産運用をするにあたっては見通しが立ちにくいかと思いますが、相場に左右されにくいバランス型ファンドやお気に入りの資産のインデックスファンド、業績が好調でバリュエーションの安い株式などを中心に資産運用を始めてみるのがよいでしょう。
株主優待は多くの個人投資家にとって分かりやすい接点となりますが、株主優待の内容だけで業績の良くない企業に投資して株価が下落してしまっては元も子もないので、ぜひとも慎重に投資先企業を選別していただきたいと思います。2017年が皆様にとって良い年になることをお祈りいたします。
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LIMO編集部