ソニーグループ(株)の2021年4~6月期決算で、イメージング&センシング・ソリューション(I&SS=半導体)事業の売上高は前年同期比6%増の2181億円、営業利益は同16%増の305億円だった。
イメージセンサーは4%増収
売上高2181億円のうち、主力のイメージセンサーの売上高は同4%増の1872億円だった。中国スマートフォン市場の停滞や在庫調整などで中国メーカー向け出荷が5月以降鈍化したが、計画に織り込み済みだった。米中摩擦の影響で昨年秋以降に出荷ができなくなったファーウェイ向けの減少分を、アップル向けの伸びとデジカメ向けの需要回復でカバーし、増収増益を確保した。
21年4~6月期時点のイメージセンサー月産能力は13.5万枚。もともとは14.1万枚を計画していたが、13.5万枚になったのは「モデルミックスの変化によるもの」と話し、生産キャパシティーが減ったわけではないことを説明した。21年7~9月期は13.8万枚まで増強する予定だ。
ウエハー投入ベースの実績は21年4~6月期が13.7枚となり、スマホ新モデル向けに投入を増やして、ほぼフル稼働だった。21年7~9月期は13.8万枚を予定しており、フル稼働を維持する予定。ウエハー単価は前年同期比で10%ほど下落しているが、これはファーウェイ向けの出荷が無くなった影響と説明した。
中国スマホ市場の停滞に懸念
I&SS事業の通期売上高の見通しは、期初計画の1兆1300億円から1兆1000億円(うちイメージセンサーは9700億円から9450億円)へ若干下げた。モバイル向けの販売数量が減少することを反映したもの。
ただ、顧客基盤の拡大については、中国スマホメーカー各社にソニー製イメージセンサーの採用が着実に進んでおり、21年度の数量ベース市場シェアの回復には成果が見えてきていると述べた。22年前半の各社フラッグシップモデルへの高付加価値イメージセンサーのデザインインも順調という。
一方で、中国ハイエンドスマホ市場で19~20年のようなヒット商品がなく、勢いに欠けることが懸念材料だとも述べ、今後も状況を注視していく。
イメージセンサーの生産拠点である熊本テック(熊本県菊陽町)隣接地の取得を菊陽町に申し入れたことについては、「申し入れたのは事実だが、以降の計画の詳細は差し控える」と述べ、新工場の計画は明らかにしなかった。同様に、TSMCとの合弁報道や新工場計画に関しても「ロジック半導体の供給強化は日本全体にとって重要」と従来どおりの見解を述べるにとどめた。
電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏