日本の公的年金は、国民年金・厚生年金の2つの年金制度から成り立ちますが、老後に受け取る年金額を決めるしくみは、それぞれちがいます。

そのうち「厚生年金」は、国民年金よりも受給額が手厚いとされます。しかし、現役時代の収入が受給額に反映されるため、実際にいくら受け取れるかには大きな個人差があります。

今回は、厚生年金受給額の「男女差」にクローズアップします!

年金制度の基本

まず「年金のしくみ」についておさらいしましょう。

日本の年金制度は、次の図のようなしくみとなっています。「2階建て構造」などという呼び方を聞いたことがあるかと思います。

1階部分にあたる「国民年金」は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する、いわば年金の基礎部分です。また、2階部分の「厚生年金」は、会社員や公務員などが、国民年金に上乗せして加入するものです。

さいしょに、厚生労働省年金局「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、「国民年金」の年金月額を見ていきます。

国民年金・平均月額

全体…5万5946円(男性…5万8866円、女性…5万3699円)

国民年金の年金保険料は全員一律で、納付した期間(月数)に応じて老後の支給額が決まります。そのため、個人差や男女差はさほど大きくありません。

では、厚生年金は?

厚生年金の受給額「全体平均は14.4万円」

引き続き同資料より、厚生年金保険(第1号)の年金月額について、その個人差・男女差にクローズアップしていきます。

※厚生年金保険(第1号)の年金月額には、基礎年金(国民年金)部分も含まれます。

厚生年金保険(第1号)・年金月額

男女全体の平均:14万4268円

厚生年金保険(第1号)の男女全体の平均受給額は14万4268円です。

厚生年金の場合、現役時代に収入に応じた年金保険料を給与天引きで納付しています。それが年金受給額を左右するため、老後に受け取る額にかなりの個人差が生じるのです。

では、厚生年金受給額の「個人差」と「男女差」にフォーカスします。現在のシニア世代の受給額分布を、男女別に見ていきましょう。

まずは「女性の受給額事情」から。