景気対策としての消費減税は弊害も多い
過去の消費増税の際に、増税前の駆け込み消費で景気が良くなり、増税後に景気が大きく落ち込みました。増税すれば景気が悪くなるのは仕方ないのですが、その前に不必要な景気拡大があり、その分だけ反動減で景気の落ち込みが激しくなったわけです。
所得税増税等々であれば、そうした不必要な景気変動は発生せず、増税分だけ素直に消費が落ちて終わりでしょうから、消費増税の問題点は明らかです。
景気対策として一時的に消費税率を下げるということだと、結局消費税はなくならない上に、減税前後と増税前後の4回も無用な景気への悪影響が起きるわけです。
消費減税前には買い控えが起きて景気が一層悪化し、減税後には反動増で景気が一時的にかなり良くなるでしょう。反動増が一巡すると景気は現在より少し良い水準で落ち着くはずです。減税分だけ人々の懐が温かくなるからです。ただ、その恩恵は上記のように小さいと思いますが。
そして、減税の終了が近づくと、今度は従来の消費増税と同様に買い急ぎと買い控えという2回の不必要な景気変動が起きるわけです。
消費税は悪税だから廃止しよう(税率を下げよう)というのであれば、消費税を好かない筆者としてはやむを得ず賛成するかもしれませんが、一時的な減税には反対です。
そんなことに金を使うくらいなら、「飲食店等に多額の夜間休業補償をして、飲食店が進んで夜間休業を選択するように誘導する」とか「新型コロナの診療をしてくれた医療機関に巨額の報酬を払って多くの医療機関が争って新型コロナの患者を受け入れたがるようにする」ことに金を使うべきでしょう。
なお、以前は消費税率変更のためにレジの機械の総入れ替えが必要な店も多かったようで、無用なコストもかかっていたようです。さすがに最近ではレジ内のプログラムを変更するだけで良いはずで、レジの機械の入れ替えは必要ないと信じていますが。