景気対策としての消費減税は無用な景気変動を4回も引き起こす愚策だ、と筆者(塚崎公義)は考えています。

消費税減税の議論が出てくる心配あり

五輪が終わり、新型コロナの感染拡大に伴い緊急事態宣言が出されている中で、景気対策を求める声が大きくなっていくことが予想されます。

特に、年内に総選挙を控えている今年は、広く国民に嫌われている消費税を減税しようという政策を唱える政治家が増えてくることも予想されます。しかし、景気対策としての消費減税は無用な景気変動を4回も引き起こす愚策だ、と筆者は考えています。

冒頭に明言しておきますが、筆者は消費税というものを評価していません。理由は後述しますが、将来増税が必要になった時には消費税より他の税を増税すべきだと思っています。しかし、その筆者でさえも、景気対策として一時的に消費税を引き下げることは避けるべきだと考えています。効果が薄い割に弊害が大きいからです。

景気対策として消費減税は効果が薄い

景気が悪いので景気対策が必要だ、という発想自体は筆者も共有しています。しかし、景気が悪いのは人々に金がないからではなく、金があっても旅行や飲み会等に使えないからなのですから、広く浅く人々に恩恵が行き渡るような施策は景気への効果が薄いでしょう。

その意味では、消費税減税のみならず、10万円の一律配布にも筆者は反対ですが、10万円一律配布の方がまだマシかもしれません。消費税減税は、多く消費する人に多く減税されるわけですが、多く消費する人は相対的に余裕があるでしょうから「消費減税で懐が温かくなった分は、消費を増やすより老後のために蓄えておこう」と考える人も多いはずです。

一方で、一律10万円配布であれば、金がなくて消費ができずに困っている人にもしっかり10万円が渡ります。少なくともその分は老後のための貯金などではなく現在の消費に回るでしょうから、景気へのプラス効果が多少はあるからです。

なお、上記は景気対策としての効果を論じたものであり、そもそも貧富の格差はどれくらいの大きさが望ましいのかという観点には本稿では触れないこととします。その観点は、累進課税の税率をどうするかという議論の際に行えば良いことだと思っていますので。