70歳の長寿お祝いとして「古希(古稀)」がありますが、唐の時代の中国で詩人・杜甫(とほ)の詩で「~人生七十古来稀なり」と詠われるほど、70歳までの長生きは珍しいと言われていました。
一方、現代の日本では生命保険文化センターによると、平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳と、「人生100年時代」の到来に備える時代となりました。
この長寿と比例して必要となるのがお金です。
今の70代の方がどのくらいの貯金を確保しているのか、また70代における貯金格差について、都市銀行に17年勤務し個人の資産運用やローンを専門とした私が解説していきます。
定年後70代の貯蓄額とは
まずは金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」をもとに、定年後70代の貯金がいくらなのか確認しましょう。
まずは金融資産(預貯金・株式・投信・保険等)保有先の世帯の分布から見ていきます。
金融資産保有額の平均・中央値と分布(金融資産保有世帯)
平均値:2208万円 中央値:1394万円
- 100万円未満:5.3%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:3.2%
- 300~400万円未満:3.7%
- 400~500万円未満:3.2%
- 500~700万円未満:8.0%
- 700~1000万円未満:7.7%
- 1000~1500万円未満:14.6%
- 1500~2000万円未満:9.8%
- 2000~3000万円未満:12.8%
- 3000万円以上:23.4%
- 無回答:3.2%
平均値は2208万円でしたが、この平均値は超富裕層の資産額など、極端な数字の影響を受けています。参考にする値としては、中央値の1394万円のほうが、より実態に近いといえるかもしれません。
一昨年話題となった「老後2000万円問題」を踏まえて、中央値と比較してみると、資産は600万円不足しているのがわかります。