退職金

次に退職金です。一般職員の勤続25年以上の60歳定年退職者1人当たりの平均退職手当額は、全地方公共団体で2130万9000円。団体区分別の平均額を高い順に並べると以下の通りで、平均額ではどの団体区分でも老後資金の目安と言われた2000万円を超えています。

  • 都道府県:2179万8000円
  • 市:2119万5000円
  • 政令指定都市:2111万1000円
  • 町村:2025万2000円

民間企業との違いは?

厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査  結果の概況」によると、会社員(短時間労働者以外の労働者)の月額賃金は以下の通りで、前述の全地方公共団体一般行政職の平均給与月額40万0860円(平均年齢42.1歳)とは、「男女計」で約10万円ほど差があります。

  • 男女計:30万7700円(年齢43.2歳、勤続年数11.9年)
  • 男性:33万8800円(年齢43.8歳、勤続年数13.4年)
  • 女性:25万1800円(年齢42.0歳、勤続年数 9.3年)

また、厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査」の退職給付(一時金・年金)によると、「勤続35年以上」で「大学・大学院卒(管理・事務・技術職)」では「退職一時金制度のみ」が1897万円、「退職年金制度のみ」が1947万円、「両制度併用」が2493万円です。

前述のように地方公務員では全地方公共団体で平均約2130万円ですから、さほど大きな差はありません。ただし、企業規模1000人以上の企業の約92%は退職金制度(一時金・年金)がある一方で、100人未満の企業では10社に2社は制度そのものがないという格差があることには注意が必要です。

おわりに

多くの人が持っている公務員=安定のイメージは、景気の影響を受けにくいということからくるものと思われます。新型コロナによる経済への打撃が深刻な今は、よりそのイメージが際立つのではないでしょうか。その一方で、大災害や現在のコロナ禍のような有事の際には、膨大な業務をこなさねばならないという側面もあります。

また、地方公共団体であっても、かつての夕張市のように財政破綻することはあります。隣の芝生は青く見えがちですが、目まぐるしく変化する時代においては、公務員であろうと必ずしも先行き安泰とは言えないのかもしれません。

参考資料

中野 令子