「老後の生活には、年金以外に2000万円の資産が必要である」

2019年、金融庁のレポートに端を発した「老後2000万円問題」が世間の注目を集めました。

レポート中の試算では、モデルケースとなる高齢無職夫婦世帯のひと月の実収入が「公的年金も含めて20万9198円」とされています。

これをごらんになり、「年金がこれより少ない場合はどうなっちゃうの?」と不安を感じた方も多いでしょう。

私は以前、証券会社にて、多くのお客様から同じようなご相談を受けてきました。今回はその経験も踏まえて、公的年金が少ない方、特に厚生年金の月額が「10万円未満」の方にフォーカスしてお話していきたいと思います。

厚生年金「受取金額の平均」はどのくらいか

会社員などが受け取る「厚生年金」は、自営業・専業主婦(主夫)が受け取る「国民年金」と比べて手厚い年金額である、とお考えの方は多いと思います。では、実際はどうなのでしょうか。

2020年12月に厚生労働省年金局が公表した「令和元年度 厚生年金・国民年金事業の概況」で確認していきましょう。

厚生年金保険(第1号)年金月額

■下記の厚生年金月額には、老齢基礎年金月額が含まれます。

平均年金月額:14万4268円

  • 男子平均:16万4770円
  • 女子平均:10万3159円

国民年金の平均月額が5万円台(※)なので、厚生年金の受け取り金額が手厚いことがよく分かりますね。

※全体…5万5946円、男性…5万8866円、女性…5万3699円

ただし、厚生年金の受給額は、男女別に見ると6万円ほどの差があります。特に女性の場合は、厚生年金を受け取れる場合でも老後の生活費としては「かなり心許ない」金額となることも考えられます。

国立社会保障・人口問題研究所によると、2040年には単独世帯が全体の4割まで増える、という予測がなされています。女性の「おひとりさま」の場合は、特に注意が必要かもしれません。