年金ではゆとりある生活は送れないと感じる

年金に対する考え方も、2020年調査で「年金でさほど不自由なく暮らせる」と回答しているのは、2人以上世帯で5.4%、単身世帯で6.0%しかありません。

一方、「日常生活費程度もまかなうのが難しい」は2人以上世帯で4割超(44.1%)、単身世帯では5割を超えています(52.6%)。また「ゆとりはないが日常生活程度はまかなえる」は2人以上世帯で約5割(49.3%)、単身世帯では約4割(41.4%)でした。

先が長い老後を考えると、取り崩す金融資産にも限界があります。体が動くうちは働いて収入を得て、できる限り金融資産の取り崩しを遅らせることは老後資金を貯めること同様にとても重要だといえるでしょう。

金融商品には収益性を求めるように

金融商品を選ぶ際に重視する基準にも変化が表れています。2人以上世帯と単身世帯それぞれで「安全性」と「収益性」を最も重視するという比率は以下のようになりました。

【2人以上世帯】

  • 安全性を最も重視:2019年37.2%→2020年34.6%に減少
  • 収益性を最も重視:2019年16.0%→2020年19.2%に増加

【単身世帯】

  • 安全性を最も重視:2019年22.2%→2020年21.2%に減少
  • 収益性を最も重視:2019年24.5%→2020年27.0%に増加

長らく続く低金利で、金融商品の選び方も安全重視から収益性重視へ変化しているようです。

おわりに

銀行に預けておけば気付かないうちにお金が増えて、老後は年金で暮らすことが当たり前だった時代と現在は全く異なります。右肩上がりに給料が増えず、金利はほぼゼロの時代には、老後資金どころか現役時代に必要な貯蓄をすることも難しくなっているのではないでしょうか。

人生100年時代のセカンドライフは、資産運用や長く働くための健康維持なども含めて考えることが大切だといえるでしょう。

参考資料

家計の金融行動に関する世論調査(2020年)のポイント(金融広報中央委員会)

中野 令子