金融資産を保有していない世帯はどのくらい?
金融資産保有額の分布を見てみると、2人以上世帯では金融資産700万円未満が約半数(49.8%)で、金融資産非保有世帯は16.1%。単身世帯では金融資産100万円未満がなんと過半数(53.4%)で、うち36.2%が金融資産非保有となっています(図表1参照)。
なお、預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えている部分も含め「金融資産を全く保有していない」と回答した世帯は、2人以上世帯で1.5%、単身世帯で5.1%でした。
このように老後の備えどころではない世帯がある一方で、金融資産2000万円以上の世帯を見ると、2人以上世帯で2割超(22.1%)、単身世帯で1割近く(8.7%)あることが分かります。
前年調査と比べると、2人以上世帯の金融資産保有額の平均値は1139万円→1436万円(2019年→2020年の順、以下同)。中央値が419万円→650万円。単身世帯の金融資産保有額は平均値645万円→653万円、中央値45万円→50万円となっています。
2020年には、1人当たり10万円の定額給付金の支給のほか世界的な株高がありました。他方ではコロナ禍の影響による収入減や雇用状況の悪化で、資産の取り崩しを余儀なくされた人もいるでしょう。
同調査の「金融資産残高の増減理由」という項目では、2人以上世帯で金融資産残高が「増加した」のは23.4%。その理由で最も多いのは「定例的な収入が増加したから」の39.9%。単身世帯で金融資産残高が「増加した」は26.3%で、最も多い増加理由は、同じく「定例的な収入が増加したから」の35.4%でした。
それに対して、2人以上世帯で金融資産残高が「減少した」のは26.5%。その理由で最も多いのは「定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」の40.6%。単身世帯で金融資産残高が「減少した」は26.5%で、最も多い増加理由は、やはり「定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」の42.8%でした。
このように、前年比の金融資産保有額は増加傾向ではあるものの、その裏では二極化が進んでいることがうかがえます。