「老後は年金だけでは足りない」「老後資金を準備しておかないといけない」と、大半の人が思っていることでしょう。ところが、30代から50代にかけては住宅ローンの返済や子供の教育費が優先になり、なかなか思うように貯蓄を増やせないのも現実です。

金融広報中央委員会では毎年、全国の2人以上世帯と単身世帯を対象に「家計の金融行動に関する世論調査」を実施。保有する金融資産額や、人生100年時代の備えとして老後資金をどう考えているのかなどを聞いています。

以下、2020年調査の結果(2021年1月発表)を見ていきましょう。

金融資産の保有額、平均値と中央値は?

2020年の調査結果では、2人以上世帯における金融資産保有額の平均値は1436万円、中央値は650万円(2052世帯が回答)。単身世帯では、平均値653万円、中央値50万円でした(2500世帯が回答)。

平均値は並外れて多い金融資産額の影響を受けることがあるため、データ全体を小さい順(あるいは大きい順)に並べてちょうど真ん中にくる値である中央値の方が、より実勢を反映しているのではないかと思われます(以下で述べる金融資産保有額の分布を参照)。

なお、本調査における「金融資産」は、家計が保有する金融資産全般(有価証券・保険を含む)のことです。また、預貯金については、定期性預金・普通預金等の区分に関係なく「運用」目的で蓄えている部分のみを算入し、日常的な出し入れや引き落しに備えているお金は含まれていません。

そのため、「金融資産非保有世帯」とは、①預貯金を保有しているが「運用」目的とは考えていない世帯、および、②預貯金を全く保有していない世帯の合計になります。