「投資」の側面が強すぎて子どもをつぶす

「本人がやりたがっているから」「将来役に立つから」と親が口々に言うのを聞いても、たとえば4、5歳くらいの子が本当に自らやりたいと言っているのか、大人になった時に本当に役に立つのかは不透明です。

もちろん、習い事を通じて努力の大切さを学ぶことは人生においてプラスに働くことでしょう。しかし、「この習い事なら将来性が高い!」と短絡的に飛びつく傾向が強まっている気がしてなりません。

最近ですと、新学習指導要領により小学校5年生から教科化された英語や、プログラミング教育が人気を集めています。しかし、あまりにも結果を求めすぎると子どもは疲弊してしまいます。

習い事は、先生から教わる姿勢や仲間とのチームプレーを学び、そして努力をして結果を出すという子どもの成長をトータルで促すもの。そうした面をないがしろにして「習い事=投資」とみなすのは危険ではないでしょうか。

それに、親が「これをすれば受験に有利」と習い事を選んで、本当に子どもは幸せになるのでしょうか。受験にプラスになると聞かされれば、子どもは正面から嫌だと言えなくなります。

筆者が塾で接した中に、親に無理強いされて音楽系の習い事を続けているのがストレスだという生徒がいました。親の言う通りにするのは辛いものの、「やめたいと言ったら、親から”どのくらいつぎ込んできたと思っているの!”と叱られてしまうのは目に見えている」と嘆いていたものです。

結局、その生徒は親の熱望する進路を慎重かつ計画的に避け、自分の好きな道を進んでいきました。習い事が受験合格のための道具化してしまうと、子どもにとって負担になり、結果的に親子間に大きな溝ができてしまうこともあるのです。