厚生労働省が7月30日に公表した「簡易生命表」よると、令和2年(2020年)の日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳と、ともに過去最高を更新しました。

最近では「終活」という言葉も、ほぼ市民権を得た感があります。こうした平均寿命の伸びを考えると、70代はこの先もまだまだ続く老後生活を考える必要がある年代、と言えるかもしれません。

現に私の親戚も、90歳になっても健康で毎日グラウンドゴルフを楽しんでいます。そんな姿を見ていると、あらためて「人生100年時代」を見越しての人生設計の大切さを感じるわけです。

そこで今回は、そんな70代以上世帯の貯蓄状況に着目しつつ、証券会社でファイナンシャルアドバイザーとしてお客様の資産運用に携わってきた経験を踏まえて、人生100年時代の老後準備についてお伝えしていきたいと思います。

70代以降「貯蓄格差」のリアル

はじめに、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」から、70代の貯蓄状況を見ていきましょう。

70歳以上 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)

平均:1786万円
中央値:1000万円

  • 金融資産非保有:18.6%
  • 100万円未満:4.3%
  • 100~200万円未満:4.1%
  • 200~300万円未満:2.6%
  • 300~400万円未満:3.0%
  • 400~500万円未満:2.6%
  • 500~700万円未満:6.5%
  • 700~1000万円未満:6.3%
  • 1000~1500万円未満:11.9%
  • 1500~2000万円未満:8.0%
  • 2000~3000万円未満:10.4%
  • 3000万円以上:19.0%
  • 無回答:2.6%

平均値は、一部の極端な数値(ここでは少数のお金持ちの貯蓄額)の影響を受けやすいため、中央値のほうがより実態を示していると言われています。

70代の貯蓄額の中央値は1000万円です。

1000万円というと大金のように感じるかもしれませんが、これから10年、20年先まで続く老後生活を考えると、少々心もとない金額とも言えるかもしれません。

また、3000万円以上を保有する世帯(19.0%)と金融資産非保有世帯(18.6%)が、ほぼ同じ程度の割合で存在する、老後の貯蓄格差が見られる点は、看過できないといえそうです。