みなさんは「公務員」という職業に、どのようなイメージをお持ちでしょうか?

「国や地域に貢献できる」などの仕事内容や、「安定している」「福利厚生がいい」など雇用環境を思い浮かべる人もいるかもしれませんね。筆者もそのようなイメージを持って、かつては教員を目指した一人でした。

今回は、証券会社でファイナンシャルアドバイザーとしてお客様の資産運用に携わってきた経験なども踏まえ、公務員の退職金事情に触れながら、老後準備についてお伝えしていきたいと思います。

公務員の退職金事情

公務員は、「国家公務員」と「地方公務員」の大きく2つに分けられます。

まずは、内閣官房内閣人事局の「退職手当の支給状況(令和元年度退職者)」から、国家公務員の退職金を見ていきましょう。

国家公務員 退職理由別退職手当平均支給額

【常勤職員】

  • 定年・・・2090万6000円
  • 応募認定・・・2588万1000円
  • 自己都合・・・316万1000円
  • その他・・・201万6000円

【うち行政職俸給表(一)】

  • 定年・・・2140万8000円
  • 応募認定・・・2278万円
  • 自己都合・・・362万7000円
  • その他・・・265万8000円

※「その他」には、任期制自衛官等の任期終了(常勤職員)や死亡等による退職が含まれます。

※「応募認定」・・・45歳以上が対象で割増の退職金が受け取れる早期退職募集制度。

続いて、総務省の「平成31年地方公務員給与の実態(表-24団体区分別,年度別一般職員の勤続25年以上の定年又は応募認定退職者1人当たり退職手当額)」より、地方公務員の退職金も確認していきましょう。

地方公務員 平成30年度(60歳)

  • 全地方公共団体・・・2133万円
  • 都道府県・・・2183万9000円
  • 指定都市・・・2119万3000円
  • 市・・・2126万8000円
  • 町村・・・2008万1000円

国家公務員も地方公務員も、定年まで働くことでおよそ2000万円の退職金を手にしていることが分かります。

老後の暮らしは「2000万円」で安心できそうか

ここまで国家公務員・地方公務員の退職金額を見てきました。この退職金の金額だけを見ると、老後の暮らしも安心できるように見えますが…、実際はどうでしょう。

「夫婦で30年老後を過ごす場合の生活費として、公的年金以外に2000万円が必要となる」という内容で注目をあつめた、いわゆる「老後2000万円問題」が、まだ記憶に新しい方もいらっしゃるかと思います。

そこで、本当に老後は安泰なのかどうかを、いわゆる「老後2000万円問題」をもとに検証してみましょう。

金融庁の「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書(令和元年6月3日)」では、モデルケースとなるシニア夫婦世帯のひと月の収支について、以下のような試算がなされています。

【モデルケース】高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上を想定)

  • 実収入(主に年金):月20万9198円
  • 実支出(主に食費):月26万3718円

月々の赤字額:約5万5000円

老後必要額=5万5000円×12カ月×30年=1980万円(約2000万円)

先ほど見てきたように、公務員の退職金はおおむね2000万円でしたので、とりあえず「老後2000万円問題」はクリアできていることになります。しかしながら、ここには2つの大きな出費が含まれていないことを留意しておく必要があります。

それは「住宅費用」と「介護費用」です。

老後2000万円問題の「落とし穴」

まず、上記の金融庁の報告書では、老後は持ち家であることを前提にしています。

そのため、月々の住宅費は約1万4000円で計上されています。老後も賃貸物件に住まわれる予定の方は、家賃分も考慮しておかなければならないでしょう。

次に、介護費用です。報告書の計算式には、介護費用は全く含まれていません。

「LIFULL介護」のデータをもとに計算すると、平均入居期間である5年間の入居費用は、サービス付高齢者向け住宅で約1000万円、有料老人ホームで約1900万円の費用がかかる計算になります。

将来的にどの程度の介護が必要になるかは人それぞれですが、介護費用は老後の最も大きな支出の1つです。安心できる老後を送るために、あらかじめ資金を準備しておくに越したことはないのではないでしょうか。

「退職金だけに頼らない」ための、老後の準備

「公務員は安泰」というイメージを覆すような結果に、驚かれた方もいたかもしれませんね。しかし言い換えれば、すべての人にとって退職金だけに頼らない老後準備が必要だと言えるでしょう。

老後準備の方法も様々ありますが、ここでは特に「資産運用」に触れたいと思います。

資産運用と言うと「難しい」「リスクがこわい」などのイメージが先行しがちですが、不動産などのようにある程度大きな資金が必要となる「敷居の高いもの」ばかりではありません。

特に最近では「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」のような、少額からの積立投資を後押しする税制優遇制度も整い、資産運用ビギナーでも取り組みやすい選択肢が増えています。

老後の「お金」に不安を感じる方は、無料のマネーセミナーなどを活用して、お金の専門家に相談してみることから一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

参考資料

岡崎 泰輔