危機管理が後手後手になりがちな日本企業
筆者は長年企業の危機管理担当者と話をしていて感じるのは、危機がはっきりと見えてから対処を本格的に開始する企業が多く、その前から帰国や第三国への避難などを決断する企業は少ないということだ。
一方、今後の海外危機管理を考えると、アフガニスタン情勢は極めて深刻な状況だ。駐留米軍の撤退が加速化し、反政府勢力タリバンが国内各地を制圧している状況で、今後も治安情勢が悪化する可能性が高い。
このような中、韓国やフランスは自国民に対してアフガニスタンからの国外退避を進めるよう強く促している。
アフガニスタンに進出する日本企業は極めて限られるが、日本の各企業は現在のアフガニスタンのケースを1つの例として、治安悪化が濃厚な場合にどう駐在員の安全を守るかを今一度考える必要があろう。
上述のように、海外危機管理におけるリスクは多様だ。特に、感染症などは見えない敵であり、暴動や軍事衝突以上に予見が困難である。
そのような中では、企業ができる海外危機管理にも限界があるかもしれない。しかし、完璧には難しいとしても、予見・察知するための情報は公開ベースで出ているものも現在では多い。各企業には、的確な情報収集作業がよりいっそう求められている。
和田 大樹