家計管理のスキル、そしてコツコツと貯蓄を続ける根気は、生きていくうえで大切なチカラといってよいでしょう。
ときには、家計簿や通帳を眺めながら、「もう少し稼げれば、貯金も増やせそうなのに……」などと感じることもあるかもしれませんね。
では、年収が高ければ、その分、貯蓄額も上がるのものでしょうか。今回は、2021年5月に公表された「家計調査報告」をもとに、年収と貯蓄の関係を眺めていきます。
最新「みんなの貯蓄事情」
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2020年(令和2年)平均結果―(二人以上の世帯)」によると、二人以上世帯の貯蓄現在高の平均値は1791万円、中央値は1061万円、負債現在高の平均値は572万円です。
年間収入は634万円で、前年より5万円増えています。
これを勤労者世帯(二人以上世帯に占める割合は54.4%)に絞ってみると、貯蓄現在高の平均は1378万円、中央値は826万円です。
負債現在高は1569万円(中央値は1466万円)、年間収入は740万円です。
では、「勤労者世帯」にフォーカスして、年収ゾーンと「貯蓄・負債」の関係を眺めていきます。
勤労者世帯の「貯蓄と負債」
ここで、年収と「貯蓄・負債」の関係を示すグラフをご覧ください。
年収1500万円以上の層になると、平均貯蓄額は4000万円にもう少しで到達するくらいにまで上がります。最も平均貯蓄額が少ないのは、年間収入200万円未満の層です。ここだけを見ると、年収と貯蓄は比例するようにも思えますが…。
グラフをよく見ると、必ずしも「年収とともに貯蓄額が上がっていく」というわけではなさそうです。
年収250~300万円の層の貯蓄額(964万円)は、年収300万~350万円の層の貯蓄額(720万円)より高いです。また、年収400万~550万円の層の貯蓄額より、年収350~400万円の層の貯蓄額(962万円)のほうが高くなっています。
なお、負債を見ると、最も高いのは年収1500万円以上世帯です。
貯蓄と負債は一対にして把握する必要がありますね。次で詳しく触れていきましょう。