仕事のデキる派遣社員を目指すということかも!?
最後に、ジョブ型雇用の世界に向けたサバイバル術を少しだけ。よく、ジョブ型雇用のウェブ記事等のコメント欄に“正社員を廃止して、みんな派遣にするっていうことでしょ"というような意見が書き込まれています。
ジョブ型雇用への否定的な意見として書かれているわけですが、結構、的を得ている気もします。日本の派遣社員は総人件費の圧縮という「雇用調整弁」として機能しつつ、実はジョブ型雇用の先駆けの存在でもあったとも思えるのです。
自分がいる広告やウェブ業界の事例にすぎませんが、この業界の会社には正社員より“仕事のデキる"派遣社員が結構、たくさんいる。ですから、あなたが正社員で、あなたの職場にも優秀な派遣社員がいたら、その彼女(または彼)を参照するというのが、ジョブ型社会のイメージトレーニングになるのかもしれませんね。
日本の場合、正規/非正規の賃金格差が欧米と比較して、圧倒的に大きいという問題がありますが、これも“日本型・同一労働同一賃金"で解消を目指しています。さらに、近年の大手企業を中心に急加速する早期退職プログラム。これも、“非ジョブ型の中間管理職"はもう要らないとも解釈できます。
ジリジリとではありますが、日本がジョブ型社会に向けて進んでいるというのは確かだと思います。そのような社会が、どのようなビジョンを持つのか、メッセージ化して発信できる政治家が本来いれば良いのになあ、とも思う今日この頃でした。
参考資料
- ジョブ型人事制度に関する企業実態調査(2021年6月25日、パーソル総合研究所)
榎本 洋