導入検討企業はグローバル志向でIT化を重視

ジョブ型未導入企業のうち、「導入を検討している企業(検討企業)」と「今後も導入しない方針である企業(非志向企業)」の比較もレポートでは分析されています。検討企業はグローバル志向の傾向が強く、中途入社者の高い離職率に対する課題があるほか、デジタル化・IT化を重視している特徴などが見られるとのことです。

これは、多くの人が感じている実感通りの結果ではないでしょうか。ジョブ型雇用への転換は、ある種、時代の必然の流れとも言えますし、グローバル企業ではなおさらそうでしょう。業種や国境を超えて優秀なグローバル人材を採用するには、これまでの日本独特の雇用を見直さざるを得ないのかもしれません。

ただ日本において、ジョブ型雇用の浸透が急加速するかと言えば、若干のギモンはあります。ジョブ型雇用が進めば、労働市場はより流動化するはずですが、日本の場合「整理解雇4要件」に代表される判例法理が強固に確立されています。

本来的には、ジョブ型雇用の社会実現には、企業ごとの人事システムの刷新と同時に、解雇規制緩和や、それに対応する社会保障制度を含めた社会インフラの構造変革が重要なファクターになります。日本がそれらを含めて、根本的に変革するまでに、どのくらいの時間がかかるのか。

“いまさらジョブ型なんてイヤだよ"と思っている中高年の方々は、ご安心いただいてよいのかもしれませんね。やはり、前述の社会構造を含めた変革というのは、とてつもなく時間がかかりそうな気がします、日本では。