いままでの慣習をデジタルに持ち込むな

これらの流れをみて、つい思い出してしまうものがあります。それは、一昨年(2019年)末に発表された新製品「自動ハンコロボット」です。日本政府が行政におけるハンコの原則廃止を打ち出す前年でしたから、かなり話題になりました。テレビニュースでも取り上げられていましたね。

このニュースを見て、自分も多くの人と同様に心のなかで“そんなのハンコやめればいいんじゃないの"と思ったものです。やはり、日本人には従来からのスキームが絶対で、それを前提としてテクノロジーを発想する悪癖があるのかもしれませんね。

つまり、“過剰なホンレンソウ"を実現するためにチャットやウェブ会議を駆使するのではなく、“過剰なホンレンソウ"自体をやめてしまえば良い、ということなのですが。

ただ現在は、過渡期でさまざまなことが同時に起きています。見落としてはいけないのが大手企業で進む早期退職プログラムだと思います。最近では、人員整理をタブー視してきたパナソニックの早期退職プログラムがニュースになっています。

早期退職の進行は総人件費の圧縮と解釈されがちですが、実のところは“過剰なホンレンソウ"の受け皿である中間管理職は、もう無用の存在なのかもしれませんね。そのような意味では、スケジュールがウェブ会議で埋まり、長時間労働につながるというのも、長い目でみれば一過性の出来事なのかもしれません。

参考資料

榎本 洋