2019年、金融庁のレポートに端を発した「老後2000万円問題」をきっかけに、年金生活に入るまでの貯蓄目標額を2000万円と設定されたご家庭もあるかと思います。
「2000万円」という金額は、多くの働き盛りの現役世代にとって、ため息がでるような金額かもしれません。
とはいえ、勤続年数が長いサラリーマン世帯のなかには「定年退職金を受け取れば、手が届くであろう金額」といえるケースもあるでしょう。
では、すでに多くの方が年金生活をスタートされている65歳以上の世帯にとって、この「2000万円」という金額はどの程度の位置づけといえそうでしょうか。
今回は、2021年5月に公表された総務省「家計調査」の結果を参考に、65歳以上世帯の貯蓄事情を眺めていきます。
65歳以上世帯は、どのくらい貯蓄があるのか
さっそく、総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」から、高齢者世帯の貯蓄事情について深掘りしていきます。
まず、二人以上の世帯のうち「世帯主が65歳以上の世帯」の貯蓄額の分布を見ていきます。
なお、貯蓄保有世帯の中央値は1555万円、平均値は2324万円です。
世帯主が65歳以上世帯「貯蓄現在高階級別世帯分布」
(二人以上の世帯)-2020年-
- 100万円未満・・・7.9%
- 100万~200万円・・・4.0%
- 200万~300万円・・・3.5%
- 300万~400万円・・・3.7%
- 400万~500万円・・・3.3%
- 500万~600万円・・・3.8%
- 600万~700万円・・・3.4%
- 700万~800万円・・・3.2%
- 800万~900万円・・・2.9%
- 900万~1000万円・・・2.5%
- 1000万~1200万円・・・5.7%
- 1200万~1400万円・・・4.5%
- 1400万~1600万円・・・4.5%⇐貯蓄保有世帯の「中央値」(1555万円)
- 1600万~1800万円・・・3.1%
- 1800万~2000万円・・・3.3%
- 2000万~2500万円・・・8.3%⇐「平均値」(2324万円)
- 2500万~3000万円・・・6.4%
- 3000万~4000万円・・・8.7%
- 4000万円以上・・・17.3%
300万円未満の世帯が15.4%存在する一方で、4000万円以上を保有する世帯の割合は17.3%。こうした「格差」についても看過できませんが、その件についてはまた別の機会でお話ししていきましょう。
この分布からは、65歳以上世帯の40.7%が、2000万円以上の貯蓄を保有していることが分かります。