総務省統計局が公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2020年(令和2年)平均結果―(二人以上の世帯)」によると、二人以上世帯の貯蓄現在高の平均値は1791万円で、前年より36万円増えています。また、負債現在高の平均値は572万円で、前年より2万円増えています。
今回は、同調査の結果より、70歳以上世帯の貯蓄額を眺めていきます。平均額から見えない「格差」の部分にもフォーカスしていきます。
70歳以上世帯「みんなの貯蓄」平均いくら?
前述の総務省統計局の資料によると、70歳以上・二人以上世帯の貯蓄・負債の平均は以下のとおりです。
70歳以上世帯の「貯蓄・負債」
- 貯蓄現在高:2259万円
- 負債現在高:86万円
70歳以上の貯蓄額は、全体における平均値より468万円多い結果となりました。貯蓄から負債を差し引いた「純貯蓄額」は2173万円です。
同じように算出した60歳代世帯の純貯蓄額は2142万円。単純比較することはできませんが、70歳以上世帯の中には、貯蓄を大幅に切り崩すことなく生活できている世帯が一定数存在する、ということは確かであるといえそうです。
次では、70歳以上・二人以上世帯の貯蓄のすがたを深掘りしていきます。
THE「老老格差」70代以上の貯蓄事情
ここまでみてきたのは、あくまでも平均額です。平均額だけでは、「どの程度の割合の人」が、「どれくらいの貯蓄」を持っているかを把握することはできません。
そこで、70歳以上の貯蓄現在高階級における世帯数(抽出率調整済実数)をまとめたグラフより、貯蓄額の分布をみていきましょう。
いわゆる「老後資金2000万円問題」でクローズアップされた「2000万円」を持っているのは、70歳以上世帯全体の約39.6%ですね。さらに4000万円以上を保有している世帯に絞ると約16.6%です。
しかしその一方で、70歳以上の貯蓄事情は大きく二極化していることも見て取れます。貯蓄300万円未満の世帯は全体の15.8%。「4000万円以上」の世帯とほぼ同程度存在することが分かります。
さらに「貯蓄100万円未満」の層の割合が、8.3%。全体の約1割弱であることも看過できない点といえそうです。
「老老格差」などと呼ばれる老後の貯蓄格差をまさに表すデータであるといえるでしょう。