筆者が塾で仕事をしている時、とある親子が入塾説明にやってきました。仮にA親子としましょう。そのA親子の入塾希望の理由というものがかなり変わったものでした。なんでも学年が1つ上の近所の子が通っていると聞いて、同じ個別形式で通いたいということだったのです。
個別形式を希望するケースは、部活が忙しく自分の都合に合わせて通いたい生徒、特定の科目に問題を抱えてそこを徹底的に勉強したい生徒、学力が高く自分のペースでさらに応用問題を解きたい生徒など様々。ちなみに、その親子が言う「1学年上の近所の子」は学力が高い生徒でした。
個別形式で学ぶ理由が「近所の年上の子が来ているから」というものは前代未聞のことでしたが、とりあえず入塾をして様子を見ることにしました。
結論から言うと、A親子は数か月後に退塾しました。思ったような成果が出なかったことや、他の習い事との兼ね合いでスケジュールがキツキツになったためというのが退塾理由です。
実は、A親子は”この子は良い”と思う他の子の習い事を後追いし、色々な習い事に入会しては退会することを繰り返していたのです。それができる経済的な余裕をうらやましいと思う反面、親の願望に振り回される子どもの大変さを思うと複雑な気分になりました。
習い事で子どもがストレスを抱えては本末転倒
他人を基準にしてしまうと、我が子の適性を見抜くことができなくなります。親の期待を感じ、子どもが「やめたい」と言い出せずストレスを抱えて習い事に通うのは酷なこと。”隣の芝生は青く見える”とは言いますが、単に憧れやママ友の口コミだけで判断するのは危険な賭けです。
周りが習い事をしている子ばかりだと、「うちも何か始めないと」と焦りが出てしまいます。しかし、習い事を始める適性時期は子どもによってバラバラ。我が子にとって良いタイミングがいつなのか、普段からそばにいる親が周囲に振り回されずしっかりとを見極めて決めたいですね。
参考資料
- まなびに関する実態調査結果②「お子さんの習い事」(株式会社インタースペース)
中山 まち子