全国労働組合総連合(全労連)は2021年5月31日、最低賃金を1500円に引き上げ、全国一律の最低賃金制度の実現に向けた格差の是正を政府に求めました。

そもそも、なぜ1500円という金額なのでしょうか。また、賃金引き上げによる経済効果はどのくらいあるのでしょうか。

今回は全労連の要望と、それについてのみなさんの意見も紹介していきます。

毎月23万円程度が必要との試算

では、なぜ最低賃金1500円を全労連が主張したのかを解説していきます。

全労連の調査によると、25歳の単身者が普通に生活するためには、毎月23万円程度というデータが出ています。これを毎月150時間労働すると仮定した場合、時給約1500円となることから、今回の訴えになっています。

また、コロナ禍は日本だけでなく世界中の経済に影響を与えていますが、海外の事例もみていきます。

たとえば米国では、バイデン大統領が連邦政府と契約する企業の最低賃金を時給10.95ドル(約1194円)から15ドル(約1635円)に引き上げる大統領令に署名しています。

フランスでは、2021年1月に9.76ユーロ(約1288円)から10.03ユーロ(約1324円)に。またドイツでは、2021年1月に9.5ユーロ(約1254円)へ引き上げられ、さらに同年7月に10.45ユーロ(約1379円)へ引き上げられるといいます。

全労連は、「最低賃金の据え置きによる賃金抑制が『経済復興』の足かせとなっている。その結果、国民の消費購買力が回復せず、深刻なデフレから抜け出せなくなっている。経済危機を乗り切るために、賃金を抑制する『誤り』を繰り返してはならない。」と訴えています。

ここまで、最低賃金をめぐる議論について解説してきました。それでは、稼いだお金をみんなはどれぐらい貯蓄しているのでしょうか。次にみていきましょう。