公的年金は老後の命綱ともいえる、たいせつな収入源です。
とはいえ、「その命綱だけでは、どうにも安心できなくて・・・・・・」というのが、多くのみなさんの本音かもしれません。
預貯金や個人年金保険などを活用しながら、老後資金の準備を始めていらっしゃる方も多いでしょう。
私は以前、大手生命保険会社でマネーセミナーの講師やマネープランニングのアドバイザーとして、さまざまな年代のみなさんから、お金に関するご相談を受けて参りました。
ねんきん定期便を片手に老後の年金を計算されたい方や、少しでもお金の増える金融商品をお持ちになりたい方など、みなさん、老後を見据えたお金の準備を意識していらっしゃる方が多かった印象があります。
そこで今回は、年金生活を送られているみなさんが、どのくらいの年金を受け取っているのかを見ていきます。そして、誰しもに必ず訪れる年金生活への備え方についても考えていきましょう。
国民年金・厚生年金「みんな、いくらもらえてる?」
日本の公的年金は「2階建て制度」などと呼ばれますね。
その1階部分にあたる「国民年金」は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入します。年金のベース部分であることから「基礎年金」なんて呼ばれることもあります。
そして2階部分にあたる「厚生年金」には、会社員や公務員などが、国民年金に上乗せして加入します。
受給資格を満たした場合、国民年金のみに加入している場合は「老齢基礎年金」を、厚生年金に加入している場合は「老齢基礎年金」に上乗せして「老齢厚生年金」を、老後に受け取ります。
まずは、令和2年12月に公表された、厚生労働省年金局の「令和元年度 厚生年金・国民年金事業の概況」より、国民年金と厚生年金、それぞれの平均年金月額を見ていきましょう。
国民年金
平均年金月額…5万5946円
男性5万8666円
女性5万3699円
厚生年金保険(第1号)
※厚生年金保険(第1号)の平均年金月額には、基礎年金(国民年金)部分も含まれます。
平均年金月額…14万4268円
男子16万4770円
女子10万3159円
平均年金月額は、国民年金であれば男女ともに5万円台、厚生年金の場合は男性で16万円台、女性が10万円台ですね。
二つの年金制度の「平均年金月額」を比較すると、厚生年金のほうが手厚いことは確かです。
とはいえ、この年金額だけで老後の生活が成り立つかどうかを考えると・・・・・・。
多くのご家庭にとって、なかなか厳しいと言わざるを得ない、といったところでしょう。
ただし実際に老後に受け取る年金額は、現役時代の年金加入状況によって人それぞれです。厚生年金の場合は現役時代の収入が受給額に反映されますので、さらに個人差が生じます。
この平均額からは「どのくらいの割合の人」が、「ひと月、どのくらい」年金をもらっているかは、見えません。
そこで「年金事情」のリアルに迫るため、次では受給額の分布も確認します。平均額からは見えない部分を、深掘りしていきましょう。