老後の暮らしを支えるお金として、まずは思い浮かぶのは「年金」でしょう。

そして、サラリーマンのみなさんであれば「退職金」に期待していらっしゃる方も多くいらっしゃるでしょう。

公的年金は、現役時代にしっかり年金保険料を納め、受給条件を満たしている場合、みなさん受給ができるものです。一方、退職金の有無や金額は、個人によってまちまちです。

定年退職金を受け取ることができる場合、それは人生の中でも5本の指に入るほどの大型収入といえる方がほとんどではないでしょうか。

私はこれまでファイナンシャル・アドバイザーとして、多くのお客様のファイナンシャル・プランニングを担当させて頂きました。

特にリタイヤを間近に控えたみなさんの場合、退職金の運用方法や、退職金が少なめである場合の「老後のお金対策」についてご興味を持たれる方が多かった印象があります。

そこで今回は、いまどきの退職金事情をながめながら、「退職金の金額が少なめ」の場合、どのように老後に備えていけばよいか、考えていきます。

退職金制度の「ない」企業は何割?

さきほど、「退職金の有無」は、個人によってまちまちです、とお伝えしました。

実は、退職金制度を設けるかどうかは企業の裁量に任されています。つまり、退職金制度そのものがない企業もある、ということです。

厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」によると、退職金制度がある企業は全体の80.5%です。つまり、残りの約2割の企業では退職金制度が導入されていません。

ここで、企業の規模ごとに「退職金制度の有無」を確認していきましょう。

企業規模別にみた「退職金制度がある企業」の割合

1000人以上:92.3%
300~999人:91.8%
100~299人:84.9%
30~99人:77.6%

会社の規模が小さくなるほど、退職金制度が導入されていない企業の割合は多くなっています。さらにいうと、企業規模が30~99人の企業では退職金制度がある企業は8割をきっています。

また、企業規模だけでなく、業種間でも退職金制度の導入有無の割合に差がある点も知っておきたいところです。以下をごらんください。

退職給付制度がある割合が「高い」主な業種

複合サービス事業(信用・保険・共済事業を行う協同組合や郵便局など):96.1%
鉱業・採石業・砂利採取業:92.3%
電気・ガス・熱供給・水道業:92.2%

退職給付制度がある割合が「低い」主な業種

宿泊業・飲食サービス業:59.7%
生活関連サービス業・娯楽業:65.3%
サービス業(他に分類されないもの):68.6%

宿泊業や飲食業などは退職金制度を導入している企業が6割にもみたない結果となっています。

これから就職・転職を検討されていらっしゃる場合は、「退職金制度があるかどうか」についても確認なさるとよいかもしれませんね。