終値ベースでの年初来高値を更新。売買も活況

2016年12月2日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より87円04銭安の18,426円08銭となりました。前日比下落ですが、1日の終値は18,513円12銭と、1月4日に付けた終値ベースでの年初来高値(18,450円98銭)を上回っています。

日本時間夜に米国の11月の雇用統計の発表を控えていたことから、その後は持ち高を調整する手じまい売りが優勢となりましたが、前日比での下げ幅は100円以内にとどまりました。

米労働省が2日朝(日本時間2日夜)に発表した11月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が17万8,000人増と、市場予想の17万5,000人増を上回る伸びとなりました。失業率も4.6%と、約9年ぶりの低い水準に改善しています。市場では、米連邦準備理事会(FRB)が月内に利上げに踏み切るという見方になっています。

石油輸出国機構(OPEC)は30日にウィーンの本部で開いた総会で、8年ぶりの減産で合意しました。原油価格の先高が期待されます。世界のマーケットを見ると、米株式市場をはじめ、いずれも上昇基調になっています。ダウ工業株30種平均は1日にも最高値を更新しています。

来週の動きはどうなるでしょうか。中長期的には、目線は上である確度は高いように思います。東証1部の売買代金も3兆円を超える日が増えており、活況になっています。

ただ、足元では高値圏にあるのも確かで、利益確定の売りが出やすいところです。さまざまな材料で、値段が上下に振られることもあり得ます。

12月4日には、憲法改正の是非を問うイタリアの国民投票、オーストリアのやり直し大統領選挙が同日に行われます。改憲を目指すイタリアのレンツィ首相は否決されれば辞任すると見られています。オーストリアでは極右候補が支持を伸ばしており、欧州初の極右の大統領が誕生する可能性があります。両国選挙の結果によっては、5日の日本のマーケットから大きな影響が出ることも考えられますので注意したいところです。

方向感の判断は難しいが、弱さは感じられず

今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。今週は全般的に小動きでした。ローソク足の実体も短く方向感の判断が難しいところでした。上昇一服といったところです。

25日移動平均線からの乖離も大きく、RSIなどの数字も過熱感があります。週の半ばには5日移動平均線を割り込むような動きもありました。ただし、すぐに反発すると、週末にかけてはまた下値がサポートされるような形になりました。弱さは感じられません。

中長期的には目線は上、一段上を探る展開へ

来週の動きはどうなるでしょうか。いくつかのシナリオが考えられます。まずは、このまま5日移動平均線に下値を支えられ上昇していくパターンです。その場合、12月1日の高値(18,746円)を抜けるかどうかが大きなポイントになります。抜ければ、上値19,000円が意識されます。

来週、ここから下がっていくというシナリオもあります。たとえば欧州の選挙の結果などを受けて、週初に5日移動平均線を下抜けると、逆に5日移動平均線がレジスタンスラインとなり、上値を押さえられる形になることもあり得ます。ただ、この場合でも25日移動平均線あたりで下げ止まるのではないかと考えられます。

実際には、大きな材料がでない限り、しばらく狭いレンジ内でもみ合う可能性が高いと思われます。18,500円前後で利益確定売り、18,200前後で押し目買いが入るような状況が続くのではないでしょうか。

25日移動平均線、75日移動平均線、200日移動平均線ともに上昇の形になっています。中長期的には目線は上で、さらに一段上を探る展開になると考えられます。

下原 一晃