度を越した熱心さは悲劇と隣り合わせ

父親の教育熱心さが度を越したものになると、手に負えないほど深刻な状況になる場合もあります。

共働き世帯でも父親の方が高収入なことが多いため、教育に口出しをし始めると「自分の方にものを言う権利がある」とばかりに威圧的な態度で子どもの成績に文句を言ったり、成績不振を母親である奥さんの責任にするなど、家庭内を不穏なムードにするだけで良いことは一つもありません。

教育問題はビジネス雑誌でも定期的に取り上げられます。それは今の子育て世代、そして父親の関心が高い表れでもあるでしょう。子どもの教育に関心を寄せ、将来を一緒に考えること自体は悪いことではありませんが、親が前のめりになると子どもの気持ちが置き去りになります。

過去にも、冒頭に記したような教育パパによる悲劇的な事件が起きています。「これが正しい進路だ」と親の願望を一方的に押し付け、決めつける言動は子どもの人生に暗い影を落とし、幸せを遠ざけることにつながりかねません。

同じように教育熱心な家庭でも「子どもの気持ち」「勉強しやすい環境」を尊重している家庭は、子どもが前向きな気持ちで勉強に取り組むことができます。子の幸せを願うのであれば、子どもとよく話し合い、その考えを尊重し、時には人生の先輩としてアドバイスを送るなどサポート役に徹することが理想的なのではないでしょうか。

中山 まち子