近年、何かと話題になる毒親問題。関連本も多数出版されるなど、世間の関心の高さをうかがわせます。

これまで問題のある保護者というと、真っ先に虐待や育児放棄が挙げられてきました。悲惨な事件は後を絶たず、早期発見や初期対応の大切さが論議されています。しかし、裕福で習い事も十分にさせているため、端からは「子ども思いの良き親」「教育熱心な親」とみられる中に毒親がひそんでいることも…。

そして、毒親家庭の中でも特に子どもの逃げ場がないのが「両親ともに教育熱心」や「常識外れなほどの教育パパ」というケースです。極端な例では、2016年に名古屋で父親が中学受験生の息子の胸を刺して死亡させるという、痛ましい「教育虐待殺人事件」も起きています。

関心が強すぎることの弊害

現在、小学生から高校生の子を持つ保護者は、短大や専門学校、大学進学者が増加しつつあった世代で、「自分よりよい学歴を」「学歴はないよりはあった方が良い」という考え方が珍しくありません。また、学歴コンプレックスで子どもに自分の夢を叶えさせることを強要する親はどの時代にも存在します。

勉強は子どもの可能性を広げる大切なものですが、子どもの気持ちを考えない行き過ぎた指導は逆効果になることがほとんどです。母親だけではなく父親からも厳しく勉強面のことをアレコレ言われたり、成績管理に細かい父親から毎回のようにお説教をされると、家庭で子どもの心休まる場が失われてしまいます。