この記事の読みどころ
- 11月の日本株式相場は、トランプ新大統領の誕生が現実となったことで、激しい値動きとなりました。
- “トランプご祝儀相場”により、日経平均株価は年初来高値を伺う水準まで回復しました。12月の相場への期待は膨らむばかりです。
- 12月は日米の金融政策が大きなカギとなります。特に、利上げ実施が見込まれるFOMCに大きな注目が集まるでしょう。
先月(11月)の株式相場の振り返り
11月は米国大統領選の予想外の結果から始まった“トランプご祝儀相場”により、日経平均株価も約10か月半ぶりの高値を付けました。ふと気が付くと、いつの間にか年初来高値を伺う展開になっています。
トランプ氏の大統領選勝利でムードが一転、日経平均株価は年初来高値に迫る水準へ
11月の株式相場は、日経平均株価が概ね16,100~18,500円の広いレンジ内で推移しました。特に、後半は節目の18,000円を上抜けて、18,500円まであと一歩の水準まで達しています。これは約10か月半ぶりの高値で、年初来高値更新も視野に入って終わりました。年末も上値切り上げへの期待が高まりそうです。
11月の株式相場を押し上げた最大の牽引役は、米国大統領選におけるトランプ氏の勝利です。大統領選の結果についてはもう詳しく書く必要はないと思われますが、予想外の結果であったことは確かです。そして、その予想外の結果(トランプ氏の勝利)を受けた株式相場の動きもまた、予想外の結果でした。
トランプ新大統領の誕生で「円高・株安」となる事前予想が一転、全く逆の「円安・株高」となったのはご承知の通りです。振り返ってみれば、円高・株安となったのは、トランプ勝利が現実味を帯びた11月9日(水)だけだったと言えます。それにしても、大統領選前の楽観的な雰囲気、そして、トランプ氏勝利直後の悲観的なムードは一体何だったのでしょうか。
いつの間にか、日経平均株価の年初来騰落率は大幅に縮小
ちなみに、日経平均株価を振り返ると、10月末の株価(終値、17,425円)との比較では、11月末終値は+5.1%上昇となりました。また、11月高値は同+6.1%上昇、11月安値は同▲7.5%下落でした。この騰落率の差だけを見ても、11月の株式相場が大きく揺れ動いたことがわかります。
なお、2015年末と比較した11月終値は▲3.8%下落となっており、10月末よりマイナス幅がさらに縮小しています。いつの間にか昨年末付近まで回復している印象です。
2016年12月の注目イベント、注目セクター
12月は日米の金融政策が大きな焦点となります。特に、利上げ実施がコンセンサスになりつつある米国のFOMCの結果が重要となり、その前に発表される雇用統計も注目を集めそうです。
日米の金融政策が大きな焦点、FOMCの利上げ実施は既にコンセンサス
12月は、久しぶりに日米の金融政策に係わるイベントが、株式相場に大きな影響を与えそうです。まず、最大の注目点は、13~14日に予定されている米国連邦準備理事会(FOMC)における利上げの実施です。今回はFOMC終了後にイエレン議長の記者会見も行われます。
既に12月の利上げは既定路線となっており、相当程度は市場に織り込み済みと言えます。それだけに、仮に利上げ見送りとなった場合の影響は、非常に大きくなるでしょう。その利上げ実施を確実なものにするという意味では、2日に発表予定の雇用統計が、より一層重要になると考えられます。
そして、そのFOMCの結果を受けて実施される日銀の金融政策決定会合も注目です。特に今回は、FOMC終了から週末を挟んで、つまり、その翌週に実施されます。FOMCが金融市場に反映された結果を見据えての実施でもあり、そのインパクトが注目される可能性は高いと思われます。
現時点では、日銀の金融政策に大きな変更はないと見られますが、果たしてどうなるでしょうか。
円安メリット享受銘柄に注目続くが、為替相場の急変には注意が必要
前述したように、12月は金融政策が大きなイベントであるため、企業決算に注目が集まる局面は少ないと予想されます。しかし、FOMC実施前になると、相場の材料不足となって、企業業績が見直される可能性もあります。特に、11月からの円安進行のメリットを享受できるセクターや企業への関心が高まると考えられます。
こうした中、基本的には、外需セクターへの投資機会が増してくるでしょう。しかし、為替相場の動きが依然として読み難い中では出遅れ感の強い好業績銘柄をコツコツ拾っていくことが有効になると思われます。電機、自動車、精密機器などの外需セクターで、今後の大幅な業績改善が期待できる銘柄が買われると予想されます。
LIMO編集部