日本で新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた人は、2021年6月1日現在で約8%と、アメリカ(同50%)やイギリス(同58%)、フランス(同40%)など他のG7の国などと比べても、いまだに低い状況です。これは、「自国でワクチン開発が行えなかったことが原因だ」と言われていますが、同じように自国でワクチン開発ができていないイスラエルやチリなどの国では、接種を受けている人が多くいます。現在では日本も接種率がぐっと向上してきていますが、やはり事前の準備不足も大きかったのではないでしょうか。
海外では、希望者の接種は終わり、「未接種者への接種促進」に向けて動き始めている国も数多くあります。たとえばアメリカのホワイトハウスでは、若者への新型コロナワクチン接種促進のためにデートアプリの活用を始めたことをご存じですか? デートアプリをどのように活用して接種を促進に役立てているのか、ちょっと気になりますよね。
コロナ禍に関する暗いニュースが増えていく中で、海外ではユニークな方法でコロナのワクチン接種を促進する動きが増えています。たとえば子牛がもらえたり、お城を活用したりと、われわれ日本人からすると「えっ、そんな必要ある?」「そこまでしないと接種しないの?」と思うくらいにバラエティーに富んだ海外の取り組みを見ていきましょう。
こんなものまでもらえちゃうの!?
海外では、新型コロナワクチン接種に積極的でない国民に向けて、多様な取り組みを行っています。その中でも多く見られるのが「ワクチンを接種することによってもらえる景品」です。国をあげての景品や、企業が顧客や社員の接種促進のために用意する独自の景品など、さまざまなものがあります。
・世界のどこでも行けちゃうチケット
米ユナイテッド航空では、新型コロナワクチンの接種証明書を提示すると、抽選で「世界のどこへでも行ける往復ペアチケット」をプレゼントする取り組みをしています。2021年6月下旬までに申し込んだ会員の中から30組に同社の世界中のどの路線でも乗れる往復ペアチケットが当たり、7月1日には応募者から5組になんと「1年間有効な期限つき往復ペアチケット」が当たるという取り組みです。コロナ禍で観光への客足が伸び悩む中で、新たな追い風になるのではとの期待も集まっています。
・接種後2日はワクチン休暇
マカオなどで統合型リゾート(IR)を運営するメルコリゾーツ&エンターテインメント社は、従業員が新型コロナワクチンを接種したときに、当日と翌日に有給休暇を付与する取り組みを行っています。社員に対するインセンティブを与えることで、ワクチン接種の促進につなげているのです。ワクチン接種の当日と翌日に休むことができるので、「安心して接種を受けることができた」との声もあるそうです。
・当たればすごい! ワクチン宝くじ
アメリカではさまざまな州で、独自の景品を設置しています。オハイオ州では「バックス・ア・ミリオン」という名前のワクチン宝くじがあり100万ドルの賞金が景品になっています。ニューヨーク州では、4年制公立大学の授業料全額と生活費を景品として掲げています。
また、香港では抽選でマンションが、タイでは子牛がまるまる1頭が当たるワクチン宝くじなどもあります。ワクチン接種をするだけでくじへの応募資格を得られるので、「面倒くさくて受けたくない」という人が接種を受ける良いきっかけになっているようです。
あの有名なお城でワクチン接種ができちゃう
日本でのワクチン接種となると、やはり医療機関や集会所で受けるイメージが強いのではないでしょうか。海外では、一味違ったところで接種を受けることができます。それは、吸血鬼ドラキュラで知られる、ルーマニアのブラン城です。ルーマニア保健当局はこのお城に、新型コロナウイルスワクチン接種会場を設けました。不気味さとスリルで国民の関心を集め、接種を加速する狙いがあるようです。
このニュースにネット上では、
「お城に観光に行くついでにワクチン接種も受けられるなんていい取組み」
「広いから室内でも密を避けることができるし、とても素晴らしいアイデアだと思う」
といった賞賛の声が多い中、
「さすがに縁起が悪すぎてドラキュラ城での接種は抵抗がある」
「古代のお城を利用するのは衛生面的に少し心配だな」
といった消極的な意見もいくつか見られました。
接種した人はデートアプリ内で目立つ機能も
ホワイトハウスのコロナウイルス対策班は、デートアプリと連携してワクチン接種を促進する取り組みを始めました。これは世界最大のデートアプリといわれるTinderをはじめ、Bumble、Hinge、Chispaなど、数千万人のデートアプリ利用者、特に若者をターゲットとした施策になります。
デートアプリによって多少の差はありますが、ワクチン接種をしたユーザーは、無料でポイントをもらうことができたり、さらにマッチ相手にも「この人はワクチン接種が済んでおり安全です」ということを知らせてくれる機能までついていたりするとのこと。接種済みの人がデートアプリ内で目立ちやすくなるなどの機能を提供しているものもあります。
このように海外では、国や企業がワクチン接種促進に向けてさまざまな取り組みを行っています。日本でも、こうした海外での面白い取り組みを見習って今後のスムーズな接種促進、ひいては集団免疫の獲得につながっていけばいいですね。
クロスメディア・パブリッシング