60代といえば、サラリーマンのみなさんの中には退職金を受け取る方も多い時期です。
長い現役生活を終えたあと、ようやくお金の面でゆとりを感じ始める、そんな世代かもしれませんね。
2019年、金融庁のレポートに端を発した「老後2000万円問題」が話題となり、リタイヤ後のお金について改めて考え直した、というご家庭も多いでしょう。
今回は証券会社でファイナンシャル・アドバイザーとしてお客様の資産運用に携わってきた筆者が、60代のみなさんの貯蓄事情について解説しながら、「老後のお金」についてお話ししていきます。
60代世帯「老老格差」の貯蓄事情
まず、60代のみなさんの貯蓄額から確認していきましょう
金融広報中央委員会が2021年2月に公表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年(2020年)調査結果」から抜粋します。
60歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 平均:1745万円
- 中央値:875万円
■金融資産保有額の分布■
- 金融資産非保有:18.3%
- 100万円未満:3.5%
- 100~200万円未満:4.0%
- 200~300万円未満:4.0%
- 300~400万円未満:3.3%
- 400~500万円未満:4.0%
- 500~700万円未満:5.3%
- 700~1000万円未満:7.5%
- 1000~1500万円未満:7.5%
- 1500~2000万円未満:6.3%
- 2000~3000万円未満:13.3%
- 3000万円以上:19.6%
- 無回答:3.3%
まずこの貯蓄額の分布で着目したいのは、60代世帯の18.3%が金融資産を持たない、つまり貯蓄ゼロ世帯である、という点でしょう。
加えて、3000万円以上を保有する世帯が19.6%存在しており、まさに「老老格差」ともいえる二極化が起きています。
さらに視野をひろげると、金融資産保有額が2000万円未満という世帯が63.7%である点も看過できないといえそうです。