流れが読めない難しいレース展開

経産省のレポートをもう少し見ていきます。“ダイバーシティと経営競争力の因果関係について、日本企業の経営者は腹落ちしていない”というのは、やはり至言でしょう。つまり現在はダイバーシティ(多様性)が競争優位性の核心であるということ。

その通りだと思いますが、だったら日本の政治も、その路線で変革していってほしいものですよね。デジタルの話では、こんな一節もあります。「強みであった“すり合わせ”による競争優位が減退 → “winner takes all(一人勝ち)”の経済へ」。

“すり合わせ”は製造業だけの話ではありません。日本のビジネスマンが会議ばっかりやっているのは、すり合わせ中毒ですから。まあ、過去の成功体験の呪縛でしょうか。

ただし経産省のレポートを全部、信用する必要はないと思います。そもそも“予測不可能の時代”なのですから。極論すれば、競馬の予想みたいなものです。かなり手堅い予想だとは思いますが。

ただ、このレースが難解なのは流れが読めないことです。つまり、どのくらいの速さで日本は変わっていくのか。昨年末のDXレポート2(経産省)でも、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進展しているのは一部企業だけで、ほとんどは未着手とされています。

自分の知人などは「日本が素早く変革なんてできるわけないでしょ。ハハハ」と豪語しています。もしかすると、自分が、あと何年、働かなければいけないかというのが、重要な変数なのかもしれませんね。