儲かるからESG投資、というのは本稿の考察対象外
なぜ ESG投資をするのか、と問われて「 ESG投資は儲かるから」と答える人もいるでしょう。たとえば「将来、政府は環境規制を厳しくするだろうから、太陽光企業への補助金と石炭企業への罰金が増えるだろう。それなら、太陽光企業の株価が上がるはずだから、今のうちに買っておこう」という人ですね。
あるいは「 ESG投資が流行りだから、多くの投資家が ESG投資をするだろう。それならESG株が上がるだろうから、先回りして買っておこう」という美人投票的な投資もあるかもしれません。
そうした考え方は否定しませんが、それは「儲かりそうな企業に投資する」という普通の投資ですね。ハイテク株投資等々と同様に、自分の利益のための投資というわけです。それは重要なことですが、本稿の考察の対象外としましょう。
機関投資家のESG投資は不思議な現象
個人投資家が美しい心で「儲からなくて良いから地球環境に貢献したい」と考えて太陽光企業に投資するのは理解できますが、機関投資家はどうでしょうか。たとえば年金基金は年金保険料を支払った人々の意向に沿った運用をすべきであり、それは必ずしも清らかな心に基づくものではないでしょう。
可能性としては、上記のように「ESG投資は儲かる」と考えているのかもしれませんし、「普通の投資であってもESG投資と言っておけば我々の評判が高まる」と考えているのかもしれません。