有機EL用燐光発光材料メーカーのユニバーサルディスプレイコーポレーション(UDC、米ニュージャージー州)は、2020年(20年12月期)の売上高が3.85億~4億ドルになる見通しだと発表した(19年実績は4.05億ドル)。ファーウェイへの制裁がスマートフォン(スマホ)用有機ELに影響し、収益の伸びを欠く見込みだ。

7~9月期は中国向けの売り上げが増加

 先ごろ発表した20年7~9月期の業績は、売上高が前年同期比20%増の1.17億ドル、営業利益は同19%増の4843万ドルとなった。売上高1.17億ドルのうち、発光材料の売上高は同33%増の6871万ドル。発光材料のうち、黄緑色を含めた緑色発光材料の売上高は同32%増の約5290万ドル、赤色発光材料は同33%増の約1520万ドルといずれも伸びた。

 地域別の売上構成比は、韓国向けが6667万ドルと前年同期比で5%減少した一方で、中国向けは4357万ドルと同88%も増加した。韓国のLGディスプレー(LGD)が中国広州でテレビ用有機ELの8.5世代(マザーガラスのサイズ2200×2500mm)工場を本格的に稼働させたことなどが追い風になったとみられる。

ファーウェイ向けの下ぶれが影響

 米国の規制によって半導体などが調達できず、スマホ事業が下ぶれしているファーウェイについては「アップルやオッポ、ビーボらが穴を埋め、有機EL全体の成長を損なわなければ、当社に全く影響はない」と述べたが、一方で「有機EL業界すべてに影響を与える」とも語り、一時的に発光材料の需要にマイナスの影響が出るとの見方を示した。ファーウェイは中国スマホメーカーの中でもハイエンド機種が多く、有機ELディスプレーの搭載比率が相対的に高い。

 また、UDCの業績拡大につながる「21年末までに世界の有機ELディスプレーの生産能力がインストールベースで19年末比5割増加する」という前提についても、「長期的な成長は依然として強いが、流動的で、少しシフトアウトするかもしれない」と述べた。

今後はテレビ用有機ELの増加に期待

 通期見通しの中間値を元にすると、20年10~12月期の売上高は1.06億ドルになる想定だ。前年同期の売上高は1.02億ドルで、微増にとどまる見込み。7月から受注が回復し、8月と9月も堅調だったため、コロナ禍の不確実性は続くものの収益は引き続き力強いと説明した。

 LGDが21年にテレビ用有機ELを700万~800万台出荷する計画であることについて「テレビ用が1000万~1100万台になると、スマホ7億台分の面積に相当する。だが、この台数に達するには、あと数年かかる」と見通しを語った。

 また、開発中の有機蒸気ジェット印刷技術「OVJP(Organic Vapor Jet Printing)」については、「商品化はおそらく3~5年先だ。装置を自社設計するか、パートナーを選定して協業するか、すべての商品化オプションを検討している」と述べた。UDCは7月、OVJPを事業化するため、完全子会社「OVJP Corporation」を設立している。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏