「人生100年時代」の足音が聞こえるいま。

50代といえば、長い旅路のちょうど折り返し地点、といったところでしょうか。多くの人にとって、キャリアの集大成であると同時に、「老後」という二文字が目の前にちらつき始める時期でもあります。

とりわけ、先行きの見えないコロナ禍。はたらき盛りの現役世代には、仕事やお金に関わる心配ごとは、とうぶん続くことを覚悟したほうが良さそうですね。また、リタイヤ時期が近い50代のみなさんは、ぼちぼち「老後のお金」について考え始める時期かもしれません。

今日は、50代の単身世帯、「おひとり様」の貯蓄事情について眺めたあと、気になる「老後資金」についても考えていきましょう。

50代・おひとり様世帯の貯蓄事情

さいしょに、「50代・おひとり様世帯」の貯蓄額を眺めていきます。

金融広報中央委員会が公表する「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和2年調査結果」から抜粋します。

50歳代・単身世帯:金融資産保有額
(金融資産を保有していない世帯を含む)

平均:924万円
中央値:30万円

〈内訳〉
• 金融資産非保有:41.0%
• 100万円未満:10.4%
• 100~200万円未満:4.8%
• 200~300万円未満:3.3%
• 300~400万円未満:3.5%
• 400~500万円未満:2.8%
• 500~700万円未満:5.3%
• 700~1000万円未満:5.6%
• 1000~1500万円未満:5.3%
• 1500~2000万円未満:3.0%
• 2000~3000万円未満:4.3%
• 3000万円以上:7.6%

 

この調査結果によると、金融資産を持たない世帯を含めた「50代・単身世帯」の金融資産保有額は、平均で924万円、中央値で30万円です。

「平均」には、一部の極端に大きい(または小さい)値の影響を受けて、変動しやすいという特徴があります。ここでいうと、「一部のお金持ち層にひっぱられる形で高額になる」というイメージです。

一方、「中央値」はデータを順番に並べた時に全体の真ん中にくる値です。よって、平均より中央値の方が実態を反映しているといえるでしょう。

平均は1000万円の大台にあと少し、といったところですが、中央値は30万円、とかなり差があります。ではここで、上の貯蓄額分布に目を移してください。

「金融資産非保有者」、つまり「貯蓄なし」の層が全体の41%を占めていますね。ここから、「中央値30万円」という結果も納得できそうです。

とはいえ、定年退職前のラストスパートともいうべき50代の貯蓄額としては、いささか心許ないと感じる方も多いでしょう。

「年金や定年退職金でどうにかなるのでは?」と考える方も、なかにはいらっしゃるかもしれませんね。そこで次では、50代・おひとり様世帯の「老後のお金」について考えていきます。