富士電機、21年度は半導体に410億円を投資。売上高は10%増を計画

パワー半導体の主力拠点である松本工場

 富士電機㈱は、2021年度(22年3月期)に半導体事業の設備投資額として前年比2倍強の410億円を充てる。xEV用パワー半導体の旺盛な需要を見込んでおり、生産能力の増強計画を前倒しで実施する。

増産投資を前倒し

 同社は当初、19~23年度の5年間で半導体事業の設備投資に1200億円を充てる計画だったが、これを4年間に前倒しして実施する考えを表明。22~23年は主に前工程を中心に増強し、8インチの生産能力を倍増させる考えだ。並行して300mmの技術開発を進め、投資のタイミングを検討していく。ちなみに、20年度の半導体事業の設備投資額は199億円だった。

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 詳細は非公表だが、21年度は8インチ前工程と自動車向けモジュール後工程を増強する。前工程の増強は主に日本および欧米の自動車向け顧客からの需要増に対応するもので、主力の山梨工場(山梨県南アルプス市)や松本工場(長野県松本市)を強化するとみられる。足元で8インチ前工程の操業はフル稼働に近く、22年1~3月期にかけて徐々に生産能力を増強していき、同期には前年同期比で生産能力を30%増やす計画だ。

 具体的な試算はこれからだが、300mmの投資費用は8インチに対して2~3倍かかるため、市場動向を見ながら生産能力をどの程度持つべきか検討していく。

 また、半導体事業の研究開発費として21年度には130億円(20年度実績は123億円)を充て、自動車向けIGBT、SiCモジュール、産業向け第8世代IGBT技術などの開発を進めていく。

パワー半導体は2桁増を見込む

 21年度の半導体事業の売上高として前年度比10%増の1740億円、営業利益は同22%増の216億円を計画している。自動車の電動化比率の拡大によって、xEV用パワー半導体が上ぶれる見通しだ。

 先ごろ発表した20年度業績で、半導体事業の売上高は同15%増の1575億円(半導体1383億円+ディスク媒体191億円)、営業利益は同82%増の177億円となった。半導体の用途別売上構成比は、自動車39%、産業モジュール46%、産業ディスクリート15%となり、自動車の比率が伸びた。

 21年1~3月期のxEV用パワー半導体の受注高は、前年同期比51%増/前四半期比横ばいだった。20年10~12月期の先行受注に加え、部材不足で欧米顧客を中心に生産調整があった。21年4~6月期は前四半期並みの受注を見込んでおり、以降は対前四半期で伸長していくとみている。21年度通年では2桁増が見込まれるため、生産能力の増強を前倒しで進める。

 同社は23年度に半導体事業で売上高2000億円を目指した中期計画を推進中だが、xEV用パワー半導体の旺盛な需要に伴い、これが上ぶれる見込み。現時点で中国の低価格EV向けはターゲットに入れていないが、今後の動向を見て検討していく。

 20年度の営業利益率は11%台だったが、21年度以降は12%以上を狙う。IGBTとFWD(Free Wheeling Diode)を1チップ化したRC(Reverse-Conducting)-IGBTでは、他社に先駆けて自動車向けにスペックインしており、2年後をめどに次世代を投入する計画だ。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏

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執筆者
津村 明宏
  • 津村 明宏
  • 株式会社産業タイムズ社 電子デバイス産業新聞 編集長

1995年3月に関西大学経済学部卒。1999年3月 ㈱産業タイムズ社に入社。電子デバイス業界の専門紙である電子デバイス産業新聞(旧・半導体産業新聞)の記者として、2007年より副編集長、2009年12月より編集長。