さきほどの金額をどのように感じるかは、人それぞれだと思います。

しかしながら、これはあくまでも「病気や介護の必要がない高齢夫婦の、必要最低限の生活」を想定したモデルケースであることは留意しておく必要があるでしょう。

例えば、公益財団法人生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(令和元年度)」によると、老後にゆとりある生活を送る場合に必要な生活費は月々36万1000円にもなります。

この36万1000円をさきほどの計算式に当てはめてみると、老後の不足金額は2000万円どころか、約5400万円に膨れ上がります。

先程の退職金と勤続年数の資料によれば、2000万円ほどの退職金をもらうには、大学卒では35年以上、高校卒では42年以上の勤続年数が必要でした。この勤続年数は、学校卒業後から定年まで同じ会社で働き続けた年数に相当します。

そのような場合でも、退職金だけでは老後資金に必ずしも十分だとはいえないようです。

また、現在は労働市場の流動性が高くなり、転職する人も増えています。

終身雇用で定年まで働き続けて、しっかりと退職金をもらって老後生活をまかな賄う…という時代は終わろうとしているのかもしれません。

退職金以外の老後対策を

それでは、退職金以外の老後対策をどのようにしていけば良いのでしょうか?

最初に、頭に思い浮かぶのは「貯金」だと思います。

しかしご存知の通り、近年の金利情勢では預金金利は二束三文しかつきません。また、今後人口減少に伴い経済成長が見込めない日本では、将来的に金利が大幅に上がることも期待できません。