世界で半導体不足が指摘されるなか、半導体シェアにおける台湾の存在感が強まっている。

半導体生産で世界的な注目を集める「台湾積体電路製造(TSMC)」の傘下にある「世界先進積体電路(バンガード・インターナショナル・セミコンダクター)」は5月4日、来年を目処に自動車向けなどの半導体生産を現状から3割増やし、21年の設備投資も前年比で約2.4倍にあたる330億円を投じる計画を明らかにした。

今後もデジタル化加速による半導体需要の増加が見込まれるが、半導体で世界の工場化する台湾の存在は日本の半導体関連企業にとってもメリットであり、半導体分野における日本と台湾の経済的結び付きがいっそう深まることが期待される。しかし、今後の台湾情勢を巡っては期待材料ばかりではないのが現状だ。

半導体の国内生産拡大を目指すバイデン政権

米国のバイデン大統領は、半導体の国内生産拡大を目指すべく、サプライチェーン強化を進めている。

バイデン大統領は2月24日、半導体やレアアース、医薬品などの輸出入先を根本的に見直す大統領令に署名。3月31日にはハイテクノロジーで中国に対抗するため、今後8年間で2兆ドル(約221兆円)を超える投資を実施していく方針を明らかにしている。

投資額は第2次世界大戦以降で最大規模となる。また、4月16日にワシントンで開催された日米首脳会談でも、中国依存からの脱却や軍事的緊張を見据え、半導体を含むハイテク分野のサプライチェーン強化に向け日米が連携することで一致した。