なぜ同調圧力だけが強固に残っているのか
たしかに、日本人のルーツであるムラ社会の影響は強いと思います。しかし、日本人の「家族観」や「幸福の尺度」は戦後、大きく変わったと思います。ここでメンドくさいのは、“いや、変わったように見えるが、根底は不変だ"と主張する人たちです。
その意見に自分も概ね賛成しますが、表面的といいますか、日々の生活を送る上では、それほど影響下にあるとは思えません。しかし“同調圧力"だけは事情が少し違って、現在も現役バリバリで、その影響が強固に残っている。これが、なぜかということです。
「それは、同調圧力が一番強固だから」という考え方もあると思いますが、自分の説は、ちょっと違います。つまり、日本の過去の栄光「モノづくり社会/ソサエティ3.0」を支えるベースとして、たまたま同調圧力が、ガチでジャストフィットしてしまった。その成功体験、言い換えれば“呪い"に縛られているのではないか。そんな気がします。
日本の過去の栄光を支えたひとつが「終身雇用&年功序列」ですが、世界中の頭の良い人たちがそのことを分かっていても、どこの国もマネできなかったのは、なにか日本人の特殊性が、そのシステムを支えていたとも思えるのです。
冒頭の話に戻ると、トップが筋の通らない話をしていると、結局、そのツケは現場が払うことになります。ただ自分も含めて、日本人はどこかで、“随分ムダもあったが、これも仕事のウチか"と思っている印象があります。もしかすると日本の生産性は、当分、上がらないのかもしれませんね。
「いや、それをムダというのは馬鹿な意見だ」とあなたは思うかもしれません。しかし、自分の独断と偏見では、日本のお家芸だった“すり合わせ/カイゼン”といったプロセス自体が“ムダ”になりつつあるという気も、ちょっと、するのでした。
榎本 洋