リタイヤ後の「ゆとり」のためにできること
定年後も働き続けることには、さまざまな目的や意義があるでしょう。
しかし、「お金がないから」という理由だけで、半ば強制的に仕事を続ける事態は避けたいものです。そのためにできる対策を考えます。
「貯蓄」から「投資」へ視点を移す
「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」という言葉を耳にすることが増えた方もいらっしゃるでしょう。
これは、家計の金融資産を「貯蓄から投資へ」シフトさせようという政府の思惑が関係します。これについて、2つの資料をもとにお話しします。
1つ目は、金融庁「人生100年時代における資産形成」(平成31年4月12日)です。これによると、1998年からの過去20年間における日本の家計金融資産の増加率は1.4倍です。それに対し、アメリカは2.7倍に増えています。
2つ目は、日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」(2020年8月21日)です。同資料より、日本とアメリカの家計金融資産の構成を比較します。
「家計の金融資産構成」日米比較
日本
- 現金・預金:54.2%
- 債務証券:1.4%
- 投資信託3.4%
- 株式等:9.6%
- 保険・年金・定型保証:28.4%
- その他計:2.9%
米国
- 現金・預金:13.7%
- 債務証券:6.0%
- 投資信託:12.3%
- 株式等:32.5%
- 保険・年金・定型保証:32.6%
- その他計:3.0%
つまり、日本の家計金融資産がほとんど増加していない主な要因は金融資産の半分以上を預貯金で運用しているからであり、アメリカのように株や投資信託等の金融商品の割合を増やし、積極的に資産運用をするよう促しているのです。
それでも、預金信仰の強い日本ではなかなか「貯蓄から投資へ」のシフトが進んでいないのが現状です。
ただ、資産運用を行うことが、家計の金融資産を増やすポイントとなっていることは、この結果をみれば一目瞭然です。ぜひこの機会に資産運用のスタートを検討してみてはいかがでしょうか?
さいごに
学校を卒業してから約40年。汗水たらして働いたあとに待っている老後生活。
「お金が足りないから」という理由だけで働き続けるよりも、精神的にも金銭的にも余裕をもち、自分本位の選択ができるゆとりあるセカンドライフを過ごしたいものです。
そのために、「資産運用」という選択肢を検討されてみてはいかがでしょうか?
一人で始めることに不安を感じる方は、まずは専門のファイナンシャル・アドバイザーなどに相談されることをお勧めします。
参考資料
- 総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者」-「敬老の日」にちなんで-
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」
- 金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回)厚生労働省提出資料
- LIFULL介護「老人ホームの費用相場」
- 公益財団法人生命保険文化センター〈「生活保障に関する調査」/令和元年度〉
- 金融庁「人生100年時代における資産形成」(平成31年4月12日)
- 日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」(2020年8月21日)
- マネイロ「資産運用はじめてガイド」
佐藤 雄基