みなさんは「公務員」と聞いて最初にどんなイメージをもたれますか。

「収入が安定している」「年金が多そう」といったイメージが最初に浮かぶ方も多いかもしれません。

実は、私も両親の勧めで公務員を目指した時期がありました。

親としては「民間企業に勤めているよりも年金が多く、定年後も安定した生活を送ることができるから安心だ」という思いだったようです。(ちなみに、親は公務員ではありません。)

親の心子知らずとはよくいったもので、私も公務員になることはありませんでした。

今回は、証券会社で9年間ファイナンシャル・アドバイザーとしてお客様の資産運用に携わってきた私が、一度は目指した公務員の退職金についてお伝えしていきたいと思います。

「国家公務員」と「地方公務員」

公務員は、大きく分けて「国家公務員」と「地方公務員」があります。

両者とも公共のために働くという点に関しては同じですが、国に所属しているか、各自治体に所属しているかの違いがあります。

この違いが、人数と給与にどの程度影響してきているかを確認します。2020年10月に人事院が公表した「国家公務員給与の実態」から、公務員の平均給与月額、および人数を抜粋します。

平均給与月額

  • 国家公務員:40万8868円
  • 地方公務員:36万949円

従事している人数

  • 国家公務員:約58万6000人
  • 地方公務員:約274万4000人

国家公務員約58万6000人のうち、人事院の給与勧告の対象となるのは、給与法の適用を受ける一般職の国家公務員約27万8000人です。

今回は、この「国家公務員の退職金」部分について見ていきます。

国家公務員の平均退職金

ここからは、内閣人事局公表の「退職手当の支給状況(令和元年度退職者)」から、一般行政事務職員等である行政職俸給表(一)適用者で、「35年以上勤務した場合の退職事由ごとの金額」を抜粋していきます。

行政職俸給表(一)適用者で勤続年数が35~39年の場合

【平均支給額…2206万2000円】

〈退職事由ごとの平均支給額〉

  • 定年退職…2188万1000円
  • 応募認定(※)…2346万6000円
  • 自己都合…1782万7000円
  • その他…2074万円

行政職俸給表(一)適用者で勤続年数が40年以上の場合

【平均支給額…2166万7000円】

〈退職事由ごとの平均支給額〉

  • 定年退職…2154万円
  • 応募認定…2300万6000円
  • 自己都合…1988万1000円
  • その他…2239万6000円

行政職俸給表(一)適用者で、「定年退職」「応募認定」が退職事由であれば、だいたい2000万円以上退職金を受け取ることができそうです。

※「応募認定」とは

「早期退職募集制度」に基づく退職を指します。

早期退職募集制度は、45歳以上(定年が60歳の場合)の職員が対象。職員の年齢別構成の適正化を通じて組織の活力を維持することなどが目的。2013年11月1日から本制度に基づく退職(応募認定退職)が可能となりました。

参考:内閣人事局「早期退職募集制度について」

「公務員の退職金」民間企業との格差は?

ここまでは国家公務員の退職金を見てきました。

しかし、世の中には国家公務員よりも地方公務員よりも、民間企業に勤める人の方が圧倒的多数です。自分には関係がないことだと思われた人も多いかも知れません。

そこで、民間企業の平均的な退職金と比較をしてみましょう。

厚生労働省が公表する「平成30年(2018年)就労条件総合調査 結果の概況の「退職給付(一時金・年金)の支給実態」では、民間企業の退職金の平均は、大学・大学院卒・定年の場合で退職者1人あたり1983万円、高卒・定年は1618万円となっています。

さらにいうと、民間では退職金制度を設けていない企業もあるため、退職金事情は勤務先によって大きく変わることが考えられます。

やはり、冒頭にでも触れた世間の一般的なイメージ通り、公務員という職業は、民間企業の平均よりも多く退職金を受け取れそうである、といえそうです。

まとめにかえて

この記事をご覧になって、「国家公務員になれば、退職金も2000万円以上受け取れそうで、老後は心配ない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

2019年に金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループの報告書が発端となり、「老後資金=2000万円」というイメージを持たれる方も多いでしょう。

しかし、この報告書には、「介護費用が含まれていない」「住居費が持ち家世帯を前提として計算されている」といった落とし穴があります。要は、生活費のみに焦点が当てられているのです。

また、生命保険文化センターの調査によると、ゆとりある老後生活には月々約36万1000円が必要となります。それを基に計算すると、「老後資金=2000万円」では到底足りないとの試算も出ています。

ここで公務員の方にも、民間企業にお勤めの方もお伝えしたいのが、「資産運用の必要性」です。

現役時代の収入や退職金に格差はありますが、老後は皆さんに等しく訪れます。貯蓄や退職金で老後資金を賄えない可能性があるならば、資産運用を行い老後に備えることを検討してもよいでしょう。

また、現役時代から老後にかけて、長期で資産運用を継続することを考えた場合は、保障の重要性も増してきます。

お金の問題は、自分からアクションを起こさない限り誰も解決はしてくれません。マネーの専門家に相談し、ご自身の老後の設計図を描いてみてはいかがでしょうか。

参考資料

岡崎 泰輔