個人的にも今の小学生はとても現実的であると感じた瞬間がありました。筆者の子どもが今年の春、小学校を卒業したので、卒業文集の定番である将来の夢の欄をみると、芸能界やスポーツ選手への夢を書く子もいましたが、「消防士」「看護師」「建築士」「プログラマー」のような専門職や「会社員」「公務員」という職種が目立ちました。

旅行関係や国際系の職種を記入している子は皆無に近く、コロナ禍で直撃を受けた分野を小学6年生も感じ取っているのでは、と考えさせられました。

現実的だけれども夢は大きく

新型コロナウイルスの感染拡大による様々な変化は、大人だけではなく子どもの世界にまで及んでいます。「第一生命『大人になったらなりたいもの』アンケート」をみると、今年から加わった中学生や高校生の結果はさらに現実的です。

中学生女子・高校生女子のトップ3は両方とも「会社員」「公務員」「看護師」の順でした。男子は「会社員」「ITエンジニア・プログラマー」「公務員」が上位を占めており、安定した手堅い職種への憧れが強まっていることが浮き彫りとなっています。

中学生の「大人になったらなりたいもの」

出所:第一生命保険株式会社 第32回「大人になったらなりたいもの」のアンケート調査より

 

高校生の「大人になったらなりたいもの」

出所:第一生命保険株式会社 第32回「大人になったらなりたいもの」のアンケート調査より


とはいえ、中学生や高校生のランクの中にも、男子ではサッカー選手や野球選手、女子はパティシエなど小学生と変わらない人気の職種も入っています。

コロナ禍では、子どもたちも世の中の厳しい現実を見聞きする機会が増え、自分の未来に不安を感じることも多かったことでしょう。こうした混沌とした中では、安定志向に傾くことは自然な流れであり、単に「今の子どもは夢をみない」と言い切ってはいけないのかもしれません。

参考資料

中山 まち子