日本版ブラックフライデー元年!?

週明けの月曜日、筆者のフェイスブックには、イオンモールのブラックフライデーの広告が躍っています。米国では今年は11月25日(金)からブラックフライデーのセールが始まります。これに対して、いよいよ日本でもブラックフライデーが本格化する「ブラックフライデー元年」になるのでしょうか。

イオンモールの広告を見ると、期間限定・数量限定の目玉商品が並んでいて目移りしそうです。さらに、専門店限定のWAON POINTの還元キャンペーン(貯まったWAON POINTを利用すると、その利用額の30%を後日ポイント還元する)や、専門店限定でイオンカードでのクレジット払い金額に対し最大20倍のときめきポイントがもらえるといったキャンペーンが紹介されていますので、わくわくしてきます。

また、トイザらスやGAPもブラックフライデー商戦を展開する模様です。

今年はブラックフライデーで年末商戦の号砲が響くのでしょうか。

初年度はイオンに有利、正念場は来年から

今年は秋が早く駆け抜けていて、気候だけを言えば12月の気分です。したがって、年末を意識した商戦の火ぶたが11月末のブラックフライデーであるというのは悪くないと思います。筆者も「そろそろ年末に向けて買い物でもしたい」と月曜から考えてしまいました。

以前も書きましたが、イオンのブラックフライデー初年度は先行者利益があると予想できます。実際に目玉商品の詳細、数、価格がわからないため、気になる消費者は「まずは行ってみよう」となり、さらに目玉商品を買うことで財布の紐が緩み「ついで買いもしよう」と考えるのではないでしょうか。

イオン側はこうした集客に加えて、目玉商品の供給量と非目玉商品の価格をコントロールできるので、しっかり儲けることでしょう。今年のブラックフライデーはイオンにとって帳簿が相当なブラック(黒字)になると予想できます。

むしろ問題はその後です。普段消費者がイオンで買っているものを前倒しで買うだけでは自社シェア内の時間シフトに終わり、その後の商売がきつくなります。ブラックフライデーだからといって消費者の懐が温かくなるのではありません。他社からシェアをとれるかが、本当のポイントです。

翌年になれば、イオンの手の内と成果を見て競合店は的確な対応をしてくるでしょう。また、今年の目玉商品以外があまり高いと来年消費者は来てくれません。消費者も徐々に競合店舗を比較しながらチェリーピックをするでしょう。EC事業者も黙っていません。今年だけでなく、来年以降もにらんだ巧みな算盤勘定がイオンには求められることでしょう。

米国のブラックフライデーとの違いは?

米国の場合、12月後半には実質的なクリスマス休暇に入りますので、ブラックフライデーはクリスマス商戦のスタートと言ってもよいでしょう。しかし、日本の場合、従来の商戦は年末です。したがって、ブラックフライデーは年末商戦としてはやや早い気がします。しかもボーナス前で家計的には一番きついタイミングです。

イオンは今回の商戦を年末商戦のスタートと位置付けるのか、日本でのクリスマス商戦として位置付けるのか、あるいはそうしたものとは別の独立した商戦とするのか、大変興味深いです。

そして、実のところはイオンカードの保有者数と使用額が高まるだけでも成功と考えているのか、ぜひ聞いてみたいところです。

今週末は紅葉狩りをと思っていましたが、イオンモールに出かけてみる必要がありそうです。

 

LIMO編集部