その方法の一つが地方都市への移住です。
ちなみに東京を基準にすると、地方の県庁所在地の消費者物価は3~4%低いですし、家賃などは6割近くも安くなります。
フィンウェル研究所では、2021年3月に地方都市移住のアンケート調査(第2回目)を行いました。
東京、大阪、名古屋に住んでいる、またはそこから10年以内に地方都市に移住した60代を対象に行い、2305名の方から回答をいただきました。
アンケート調査のテーマは、「地方都市移住で生活費は引き下げられるか」です。次章でさっそく見ていきましょう。
アンケートで分かった!「資産はいくらあればいいか」
2305人を対象におこなったアンケートでは、そのうち金融資産を保有していると回答した1825人を対象に、「持っている資産で退職後の生活はカバーできるか」を聞いてみました。
移住を検討している人、検討したがあきらめた人、そもそも移住を考えていない人、そして実際に移住をした人ごとに、それぞれ持っている資産で退職後の生活が「十分カバーできる」、「何とかカバーできる」、「まったく足りない」の3つの選択肢を選んでいただきました。
【表1】は、そのセグメントの平均保有資産額と中央値のレンジを示したものです。
移住を検討していようと、あきらめようと、まったく検討していなかろうと、各セグメントの金額にほとんど違いはありませんでした。
この3つのカテゴリーの人は現在、東京、大阪、名古屋に住んでいるからだと思います。
しかし、3大都市から地方都市に移住をした人は「何とかギリギリできる」という人の平均保有資産額が、他と比べて低いことがわかります。
すなわち、保有資産が少なくても「移住によって退職後の生活が何とかカバーできるようになる」ことを示唆しています。
つまり、移住をした人は、移住のための必要金額がかなり少ないということです。
ただ、ちょっとおもしろいなと思ったのは、「十分できる」と回答した人の平均保有資産額は、移住をしているかどうかに関係ないという点です。
このセグメント(平均額6375.0万円~8042.9万円)は、どこに住んでいてもかなり余裕を持った生活ができるということなのでしょうか。