ユニクロはウイグル問題を巡って立場を鮮明にしていないと内外で批判の声も出ている。ウイグル問題など米中対立の背景になっている問題では、日中間だけでなく、ウイグル問題を介して日本と第3国との経済関係にも摩擦が生じる可能性にも配慮が必要だろう。

反対に、こうした人権問題という政治リスクから生じる影響を意識してか、2月以降深刻化するミャンマー情勢のなかでキリンは、クーデターを実行し今でも市民への弾圧を続けるミャンマー国軍系の企業との合弁解消を発表している。

欧米諸国はミャンマー国軍への圧力を強め、一部で経済制裁を発動している。また、カゴメはウイグル人権を巡り、新疆ウイグル産のトマトの使用停止を発表した。

中国からの経済的圧力も。高まる政治的リスク

上記のように、ウイグルやミャンマーの人権問題が企業活動にも影響を与えるようになってきている。

ブリンケン国務長官は、中国との付き合い方は各国によって違うと日本へ配慮するかのような姿勢も示しているが、それは、日本は日本のやり方でこれまでの日中経済関係を維持できることを意味しない。

当然ながら、日中関係をどうするかは中国側にも選択肢があるわけで、米中対立の中で日本を米国側と位置付け、経済的な圧力を掛けてくるというシナリオは、今後の情勢を考慮すれば十分に考えられる。

既に、米中貿易摩擦は二国間の問題ではなく、それが影響を及ぼす範囲は拡大している。日本企業は今後さらに政治リスクを意識した経済活動が求められるだろう。

和田 大樹