起業家やフリーランサーといった「自分のスキルで食べていく」という生き方に注目が集まるこんにち。

現役時代の働き方は、今現在の稼ぎだけではなく、老後の年金事情にも関わることでもあります。

筆者自身、会社員とフリーランスどちらも経験しており、いわゆる「社保付」で働くことの安心感についてはじゅうぶん承知しています。

その一方で、フリーランス時代は、売上管理や帳簿付けなどを通じて、税金や年金そして将来の貯蓄について正面から向き合う機会が多かったとも感じます。

自営業やフリーランスが自分自身で舵取りするのは仕事だけではありません。税金、年金、そして老後の蓄えについてもゼロから自分で備えていくことになるわけです。

会社員が老後に受け取る厚生年金と比較すると、自営業・フリーランスなどが老後に受け取る国民年金の受給額はだいぶ少なめであることは確かです。

そこで今回は、国民年金の老後の受取り額を増やすテクニックについてお話していきたいと思います。

「国民年金」みんなどのくらいもらってる?

さいしょに「令和元年(2019年)度厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和2年12月)」から、2019年における「国民年金・老齢年金の年金月額平均」を抜粋します。

全体…5万5946円

  • 男性…5万8866円
  • 女性…5万3699円

では、国民年金・老齢年金を満額もらった場合の金額はどうなっているのでしょうか。この年度に対応している2019年4月分からの年金額は、満額で78万100円。月当たり6万5141円でした。

「この受給額だけでは、到底老後の生活は成り立たない」

ほとんどの方がそう感じられたのではないかと思います。そこで、国民年金をできるだけたくさんもらうためのテクニックをご紹介していきます。

国民年金をたくさんもらうためのテクニック

テクニックといってもいずれも公的年金制度の一部なのですが、「何となく分かりにくい」「面倒くさい」といった理由でまだ活用できてない、という方もいらっしゃるかと思います。

では、手軽に始められそうなものからご紹介していきますね。

お得感バツグン!「付加保険料の納付」

「2年でモトが取れる!」なんて聞いたことはありませんか?

「国民年金第1号被保険者」もしくは「国民年金の任意加入被保険者」(65歳以上の方を除く)に該当する人は、毎月の年金保険料に400円上乗せして「付加保険料」を支払うことができます。

この月額400円を納めていくことで、将来、老齢基礎年金の受給額が増える、というしくみです。

※「第1号被保険者」…日本に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者(フリーランス)や農業・漁業者、学生や無職の方、その配偶者の方のこと。厚生年金保険や共済組合等に加入している方は除きます。

※「任意加入被保険者」…保険料を納める期間や加入者である期間が短いなどの理由から、60歳以降も国民年金に任意で加入する方のこと。

 

また、付加保険料を納めた方が65歳以降に受け取れる「付加年金額」は、「200円×付加保険料納付月数」から算出できます。

例えば…「20~60歳の40年間納めた場合」

付加保険料の納付総額:19万2000円(400円×12カ月×40年)
付加年金額(年間):9万6000円(200円×12カ月×40年)

となり、毎年の年金受給額が9万6000円もアップします。

参考:日本年金機構「付加保険料の納付のご案内」

「国民年金基金への加入」

付加保険料と同じく「国民年金第1号被保険者」または「任意加入被保険者」(65歳以上の方を除く)に該当する方は、「国民年金基金」に加入することができます。

この国民年金基金は、厚生年金に加入していない自営業者などが、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せできる公的な年金制度です。

「国民年金基金」のポイント

  • 掛金は、加入時の年齢やプランによる
  • 開始年齢は原則65歳(プランによっては60歳から)
  • 運用指示は不要
  • 有期年金もあるが、基本は終身年金。そのため、加入時の年齢やプランに応じた掛金を払うと、老後は一定の金額をずっと受け取ることが可能。
  • 掛金は社会保険料控除として全額所得控除できる。
  • 受け取る年金額が事前に把握できる。

【注意点】国民年金基金の加入と、先述の「付加保険料の納付」の併用はできません。理由は国民年金基金の保険料に「付加保険料相当」が含まれているからです。

自分で作る年金「iDeCo」

次のご紹介するのはiDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分の年金を自分で準備するための制度です。

加入条件や毎月の拠出額が人によって異なりますが、iDeCoのメリットは以下の3つの税制優遇が受けられる点にあります。

  • 基本有期年金
  • 開始年齢は60〜65歳(加入期間によって異なる)
  • 運用指示が必要
  • 自分で掛金を拠出し運用する制度であり、資産運用となる。
  • 金融機関や商品は自分で選択する。
  • 運用金額に応じて、60歳以降に給付を受け取れる。
  • 普通の個人年金保険や資産運用と異なり、税制面で優遇される。(小規模企業共済等掛金控除として税金が優遇されるうえ、通常約20%かかる運用益が非課税になる)
  • 受給年齢に到達した時に受け取る際にも、所得控除が受けられる。

このようにメリットが多いiDeCoですが、「60歳までは原則お金を引き出せない」「開始年齢が遅くなると運用益が思うほど出ない」というデメリットも。iDeCoの利用を検討している方は、できるだけ早めに開始するのがおすすめです。

※なお、国民年金基金とiDecoの併用は可能ですが、両方合わせて81万6000円までとなっています。(掛金が全額控除となるため。)

さいごに

国民年金の老後の受取り額を増やすしくみについてお話をしてきました。「これなら始めやすそう!」と感じられたものはありましたか?

今回は触れませんでしたが、年金の受給スタート時期を遅らせる代わりに受給額が増やせる「繰下げ受給」という制度があります。

繰下げ年齢の上限70歳で年金を受け取り始める場合、増額率は42%。さらに2022年4月からは、繰下げ年齢の上限が75歳まで引き上げられ、最大で84%まで受給額を増やすことができるようになります。

ご自身の貯蓄状況や健康状態を考えて慎重に検討していく必要があるものの、元気で長生きできることを前提として考えると、かなりお得な裏ワザであるといえそうです。

自営業やフリーランスには、会社員のように退職金はありません。でも、その代わり「定年」もありません。気力と体力があれば、長く細く働き続けるという選択肢が用意されています。

健康管理も、資金形成も、一朝一夕で結果が出るものではありません。若い頃からの地道な積み重ねが大切といえるでしょう。

長い老後を見据えた「お金の準備」は、できるだけ早いうちにスタートされることをおすすめします。

参考記事