「日本の平均年収は◯◯万円」という数字を目にして、自分のほうが低いと感じたことのある方もいるでしょう。

その感覚には理由があります。平均は、高いほうの金額に引っぱられて上がるためです。人数の真ん中にいる人の金額は、平均より下に来ます。この真ん中の金額を中央値といいます。

転職サービス「doda」の「平均年収ランキング(2025年)」によると、正社員約60万人の年収データの中央値は384万円でした。同じデータの平均は429万円です。その差は45万円あります。

さらに、この差は年代によって大きさが変わります。20代では15万円ですが、50代以上では101万円に広がっていました。6.7倍です。平均だけを見ていると、年を重ねるほど真ん中の人から離れていくことになります。

今回は年収に視点を当て、その平均と中央値についてみていきましょう。

dodaと国税庁の2つの調査を並べながら、順に確認します。

この記事では、以下の記事の内容も引用・参考にしています。

日本の給与所得者「年収600万円以上」は全体の何%?【男女別・年代別の平均給与一覧】もみる
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1. 【年収】中央値384万円、平均429万円。その差は45万円

まず、中央値と平均という2つの数字の違いを確かめます。

1.1 中央値と平均の違い

  • 中央値:金額の高い順、もしくは低い順に人を並べたとき、ちょうど真ん中にいる人の金額
  • 平均:全員の金額を足して人数で割った金額

言葉だけではわかりにくいので例で確かめます。5人の年収が170万円、270万円、340万円、420万円、1100万円だったとしましょう。高い順に並べて真ん中に来るのは340万円で、これが中央値です。いっぽう5人ぶんを足して5で割ると460万円になり、こちらが平均です。1人だけ1000万円を超える人がいるために、平均のほうが120万円高く出ました。

1.2 全体で45万円、男性で57万円、女性で20万円の開き

転職サービス「doda」の調査では、全体の中央値が384万円、平均が429万円でした。

なお、男女別にみると、男性は中央値430万円に対して平均487万円、女性は中央値350万円に対して平均370万円です。差の大きさは男女で違います。男性は57万円、女性は20万円で、男性の差のほうが女性の2倍以上大きくなっています。男性のほうが年収の差が開きやすい傾向にあります。

2. 年代が上がるほど平均と中央値の差は開いていく

次に、同調査より、年代で分けてみます。

2.1 年代別の中央値と平均

  • 20代 中央値350万円/平均365万円  差15万円
  • 30代 中央値410万円/平均454万円  差44万円
  • 40代 中央値450万円/平均517万円  差67万円
  • 50代以上 中央値500万円/平均601万円  差101万円

2.2 20代の15万円が、50代以上では6.7倍の101万円に

差は4つの年代すべてで、前の年代より大きくなっています。20代の15万円に対し、50代以上では101万円。6.7倍です。

年代別にみた中央値と平均の差1/2

年代別にみた中央値と平均の差

出所:平均年収ランキング(2025年)/提供元:転職サービス「doda」をもとにLIMO編集部作成

中央値のほうは20代350万円から50代以上500万円まで、150万円上がっています。いっぽう平均は365万円から601万円まで236万円上がっています。

中央値の上がり方も、男女で違いがありました。男性は年代が一つ上がるごとに50万円以上ずつ上がっています。女性は20代から30代で40万円上がったあと、30代から40代では20万円、40代から50代以上では横ばいでした。これにはさままざな理由が考えられますが、役職の違いや女性の方が育児などで働き方をセーブしている方が多いことなどが考えられるでしょう。

宮野 茉莉子
ご自身の年代のところを見ていただけたでしょうか。

ここで一つ、数字の読み方をお伝えしておきます。中央値が「真ん中」だといっても、そこに人が集まっているわけではありません。中央値は、人数を上と下でちょうど半分に割る位置の金額です。その金額の前後がいちばん人数が多いとはかぎりません。

それから、この数字は転職サービスに登録した方のデータです。対象は2024年9月から2025年8月までに登録した20歳から65歳までの約60万人で、雇用形態は正社員にかぎられています。日本で働く人全体を数えたものではないので、次のページで国税庁の統計と並べて、母集団の違いも確かめていきます。

もう一つ。中央値も平均も、税金や社会保険料を引く前の支給額です。手取りではありません。ご自身の数字と見比べるときは、そこをそろえてください。