3. 国税庁の統計では、真ん中の人は400万円超500万円以下の階級にいる

年収について省庁の統計でも確かめてみます。国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、対象は民間の事業所に勤める給与所得者です。そのうち1年を通じて勤務した給与所得者は5136万5699人で、平均給与は477万5000円でした。

この調査は、給与の階級で14に分けた集計も出しています。下の階級から人数を足していくと、400万円以下が2466万5788人で48.0%、500万円以下が3253万6162人で63.3%です。

5136万5699人のちょうど半分は2568万2849.5人ですから、下から数えて真ん中の人は「400万円超500万円以下」の階級にいることになります。平均給与477万5000円も、同じ階級の中の金額です。

裏を返すと、500万円を超えている人は36.7%です。平均の477万5000円は、その一つ下の「400万円超500万円以下」の階級の中にあります。ですから平均を上回っている人は、36.7%より多く、400万円を超えている人の52.0%よりは少ない、ということになります。

給与階級別の人数と、下から数えた累積の割合2/2

給与階級別の人数と、下から数えた累積の割合

出所:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」第3表 給与階級別の総括表 その1(1年を通じて勤務した給与所得者)をもとにLIMO編集部作成

ちなみにいちばん人数が多いのは300万円超400万円以下の825万7811人で、次が400万円超500万円以下の787万374人でした。

なお、dodaと国税庁の調査は対象の広さも、働き方の範囲も違うので注意しましょう。

4. 年齢で見ると、伸びるところと横ばいのところがある

年齢の伸び方は男女で違います。国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」については、年齢別の平均について男性は以下のように平均年収が推移します。

男性の平均給与に関しては、年齢のステップアップに伴って綺麗に上昇していく傾向があります。具体的な数字を追うと、25〜29歳では437.6万円ですが、30代や40代になっても順調に金額を伸ばし、55〜59歳で734.6万円に到達して最高潮を迎えます。

出所:日本の給与所得者「年収600万円以上」は全体の何%?【男女別・年代別の平均給与一覧】もみる

一方で女性は20歳代後半で370万円となったあとは300万円台を推移しています。

dodaの数字でも、男性は59歳で中央値700万円・平均775万円が頂点でした。いっぽう女性は、中央値が30代から50代まで360万円台から400万円のあいだで動いており、年代別の差も20代320万円から50代以上380万円までの60万円にとどまります。

女性は年齢で見ても、中央値は59歳の400万円が頂点でした。平均は60歳の500万円が頂点です。男性の頂点(中央値700万円・平均775万円)とは、300万円近い開きがあります。

中央値と平均の差でみると、女性は20万円、男性は57万円。女性のほうが、真ん中の人と平均が近い位置にあることになります。ただこの傾向は今後変化することも考えられるでしょう。

5. まとめにかえて

年収の平均や中央値をこれからのキャリアやマネープランにどうつなげていくかをご紹介します。

5.1 1つ目:次の5年先の目標を考える

数字で比べる相手を全体の平均年収から、ご自身の年代の平均や中央値に取り替えましょう。たとえばdodaの調査であれば、中央値は20代350万円、30代410万円、40代450万円、50代以上500万円です。

そのうえで、次の5年でこの数字をどうしたいかを考えます。いまの勤め先で上げるのか、役職に就くことで上げるのか、転職するのか、それとも現状のままかなど、自身の希望や生活などを含めて考えるといいでしょう。

5.2 2つ目:増えた分の置き場所を、増える前に決めておく

収入が上がっても同じだけ使ってしまうと、自身の貯蓄は変化がありません。むしろ使い過ぎてなかなか貯められないなんてことも起こり得ます。

年収を上げることを考えることも大切ですが、年収だけでなく「自身の貯蓄をどう貯めるか」はあわせて考えたいもの。万が一のことが起きたときや老後資金などのためにも、しっかりと貯蓄することは重要です。

収入が上がるとしても増えた分のうちどれだけを生活費などに回し、どれだけを別に取り分けるのかを決めておくと、実際に上がったときに迷わずに済むでしょう。

6. 編集部よりコメント

宮野 茉莉子
この記事で覚えておいていただきたいのは、差が年代で変わるということです。

20代では中央値と平均の差が15万円しかありません。ところが50代以上では101万円になります。同じ「平均年収」という言葉を使っていても、若い年代では真ん中の人に近く、年代が上がるほど遠くなっていきます。ニュースなどで年代別の平均年収を見かけたときは、それが50代の数字であるほど、真ん中の人からは離れていると考えておくとよさそうです。

もう一つ。統計の数字は、どこまでいっても多くの人をならした目安です。ご自身の年収をこの先どうしたいかは、どんな暮らしを送りたいかによって変わってきます。家族と過ごす時間、住む場所、仕事に使いたい時間。そうした暮らしのほうを先に思い描いてから年収の目安を置くと、数字に振り回されずに計画を立てられます。

参考資料

宮野 茉莉子