対中依存度を低下させるには

そして、その長期的なスパンの中では米中経済摩擦だけでなく、日中間の経済・貿易関係にも摩擦や障害が表面化する恐れがある。

日本経済の対中依存度を下げることは簡単なことではないが、カゴメはトマトを米国や欧州からも調達しており、中国からの輸入量は少なくともこの2~3年で減らしていたと明らかにしている。

カゴメ自身の中国依存は低く、売り上げ比率も全体の0.4%と少ないことから対中リスクヘッジが難しくないのかもしれないが、今回のカゴメのような動きは今後ほかの日系企業にも広がっていく可能性がある。

では、具体的にどういった対策が考えられるのか。これは企業によって選択肢は異なるだろうが、その1つに中国依存からASEANへ舵を切るという選択肢があろう。

たとえば、ベトナムはコロナの影響が小さく、昨年はASEANでは唯一プラス成長を成し遂げ、経済的な日本との関係を重視している。

現在はコロナ禍でなかなか新たな海外進出先を模索することは困難だが、ASEANの市場価値(ミャンマーは大変なことになっているが)は今後も伸びることを考えると、重要な選択肢と言えるだろう。

和田 大樹