多くの企業が大打撃を受けている新型コロナウイルスの感染拡大。業績悪化に伴い、給与や賞与をカットした企業も一定数存在するようです。
そこで本記事では、昨年12月にエンワールド・ジャパン株式会社が公表した「新型コロナウイルス禍での給与・賞与の変化実態調査」をもとに、コロナ禍における給与・賞与カット事情について紹介していきます。
10%の企業がコロナ禍で給与カットを実施
エンワールド・ジャパン株式会社の調査によると、外資系企業とグローバルにビジネスを展開する日系企業に対して「新型コロナウイルスの影響で、従業員の給与カットを行いましたか」と聞いたところ、コロナ禍で給与カットを行った企業は、全体の約10%(外資系企業:11%、日系企業:7%)でした。
給与カットを行った企業に対して、給与カットの割合を聞いたところ半数以上が「1~10%」と回答しています。しかし、日系企業においてはカット率を「1~10%」「11~20%」と回答した企業が同率で40%ずつとなっており、給与カット率が1割以上という企業も少なくないことがわかります。
図1 給与カット率1/2
出典:「新型コロナウイルス禍での給与・賞与の変化」エンワールド・ジャパン株式会社
給与カット以外でも、たとえば「全世界レベルでの昇給停止」というような対応を迫られた企業もあるようです。また、一方では「給与カットを実施したが、その後業績が予想以上に回復したので払い戻した」という声も。
やはり一度給与カットが実施されてしまうと、従業員としては将来への不安が拭いきれなくなります。業績に応じてきちんと払い戻されるというのは、今後も働き続けるうえで大きな安心につながるでしょう。
調査対象の企業の中には「新型コロナウイルスによる心理的不安を軽減・除去するために、給与の上積みを検討中」という声もあがりました。今すぐに給与カット分を補うことは難しいかもしれませんが、各企業がコロナ禍に対してさまざまな対策を講じている様子がうかがえます。
賞与のカット率は「11~30%」が最多
それでは、賞与(ボーナス)についてはどうでしょうか。新型コロナウイルスの影響で賞与カットを行った企業は、全体の11%(外資系企業:11%、日系企業:11%)となっており、給与カットよりも賞与カットを実施した企業が多いことがわかります。
賞与カットを行った企業に対して、カットの割合について聞いたところ、結果は図2のようになりました。
図2 賞与のカット率2/2
出典:「新型コロナウイルス禍での給与・賞与の変化」エンワールド・ジャパン株式会社
賞与カットの割合として最も多かった回答は「11~30%」でした。ただし、日系企業では「1~10%」と「11~30%」が同率となっており、カット率を10%以下に抑えている企業も同じくらい存在することがわかります。
また、100%の全額カットを実施した企業も全体の14%(外資系企業:19%、日系企業:7%)存在するなど、深刻な企業の状況が見て取れます。
【業界別】最も冬のボーナスが減ったのは? 増えたのは?
それでは、東京都が実施している「2020年 年末一時金要求・妥結状況について(最終集計)令和2年12月10日現在」をもとに、昨年冬のボーナス事情を詳しく見ていきましょう。
産業別・業種別妥結金額の分析対象となった28業種で、前年に比べて増加率が大きかったのは「パルプ、紙、紙製品」(6.94%)、「サービス業(その他)」(4.73%)、「情報サービス」(2.67%)となりました。
マスクやトイレットペーパーといった生活必需品の製造が促進されたこと、そしてこれらの生活必需品を販売するスーパーなどの小売業の業績がアップしたことなどが理由と考えられます。
一方、前年に比べて減少率が大きかったのは「その他運輸」(▲30.83%)、「鉄鋼業」(▲22.10%)、「宿泊、飲食サービス業」(▲17.38%)となっています。
新型コロナウイルスの影響で工場の稼働が停止し、鋼材が消費されなくなったこと、感染拡大防止における生活様式の変化で宿泊施設や飲食店の利用が減ったことが理由にあげられるでしょう。いずれにおいても、コロナ禍が業界の明暗を分けた年だったと言えそうです。
まとめ
この記事では、エンワールド・ジャパン株式会社の「新型コロナウイルス禍での給与・賞与の変化実態調査」をもとに、コロナ禍における給与カット・賞与カットの実態を見てきました。
新型コロナウイルスの感染拡大は始まってから1年程が経過し、あらためて新型コロナウイルスが経済活動へ及ぼす影響の大きさを物語る結果と言えるのではないでしょうか。自分や家族の生活を守るためにも、副業や資産運用などを含めて「お金を増やす」という視点を取り入れていくことが大切かもしれません。
参考資料
- 「新型コロナウイルス禍での給与・賞与の変化実態調査」(エンワールド・ジャパン株式会社)
- 「2020年 年末一時金要求・妥結状況について(最終集計)(令和2年12月10日現在)」(東京都)
タナカ チアキ